座って背中が丸くなると、、
カット椅子での作業は、手元に目線を向けると背中が丸くなってしまいやすい。
これが拡大解釈を経て、立っていることに美学を見出した先輩にとっては「座って切る」のが、「楽(らく)してやってる」ように見えるのです。
怖い先輩から次第に圧力がかかった末、「座るとあの先輩から怒られるから、座っちゃいけない」と考える後輩。
カット椅子を使わないルールが確立された実際の理由は、たったそれだけといえるでしょう。
すると駆け出しの若手も、そんな先輩の背中を見て真似するようになり、それをまた自分の後輩に伝授します。先輩に怒られないために始めた慣習は形骸化して、いつしか定着してしまった。
「美容師という仕事はこういうもの」「座らないで切るのが一流」といった歪んだ美学は、「座るのはサボっている」ものとして脈々と受け継がれてきたのです。
辛い姿勢は腰を痛めるだけだし、誰のための美学?
技術職だからでしょうか、そういった「昭和な伝承」は今になっても聞く機会が多いです。昭和の価値観を美化したままの企業では、若い美容師は押し潰され、辞めていってしまいます。
会社側が「座る」ことを推奨しないのであれば、それは立派なブラック企業です。「腰を痛めても自分の責任」と言われて納得してしまうのは、会社の方針が間違っている事にも気づかないほど、業界で当たり前の慣習になっているからです。
僕が新卒で入社した13年前には、このような慣習は多くありました。そしてそれを壊せるのは「散々やらされてきたけど、意味ないじゃん」と思える僕ら世代であることは間違いないです。
ファッションや見た目には敏感な美容師。ですが、日々を専門的で閉鎖的な空間で過ごすうちに、既に古くなってしまったマインドを美化したり、過去の成功体験に固執してしまいがちです。
この記事が「それはもう辞めようよ」と上司に進言するきっかけになればと思います。
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