1ページ目から読む
3/6ページ目

鏡に映る自分は、お化粧をしたただの陰キャの芋子

 他にもいろいろ書かれていましたが、あまり覚えていません。今まで信じていた人たちにいきなり悪意の泥だんごをぶつけられた気分でした。誰よりも可愛いなんて自惚れてはなかったけどそこまで酷いブスだとも思わなかった。

 昔からお洒落な服を着ていたしメイドになってからお化粧も覚えて髪も明るく染めました。小遣いとお給料のほとんどを美容代と服代、自分磨きに注ぎ込んでいたのです。

 この店で働けることが誇らしくて母や妹にも自慢していました。

ADVERTISEMENT

 鏡に映った自分の顔を疑いのまなざしで観察すると、あれよあれよと厨二の魔法がとけていきました。

 そこにいるのは私が思い込んでいた超絶美少女ではなく、お化粧をしたただの陰キャの芋子でした。

 それから私は客の男の人が少し信じられなくなってしまいました。

 お客さんと話していても、本当は私のことバカにして悪口書いてるんじゃないのって疑ってしまう自分が嫌でした。

可愛いイチゴちゃんからの驚くべき告白とは?

 そんな私に救いの手を差し伸べてくれたのはイチゴちゃんでした。イチゴちゃんは歳下ですがいろんなことや世渡りを知っていて頼りになる、それでいて甘え上手な女の子です。仕事が休みの日に引きこもっていると、彼女は私のアパートを訪ねてきました。

「めーたんめーたん、遊ぼうよ」

「うーん、お金もないし、どこか出かける元気ないなぁ……。何して遊ぶ?」

「じゃあ絵描いて。ウチめーたんの絵すごく好き! 綺麗な女の子描いて」

 私が言われるままノートを開き絵を描くと、手元を覗き込んでくるイチゴちゃんの大きな瞳がキラキラして眩まぶしかった。

「うまいよね……。ホンットめーたんってアーティスト! ピアノも弾けるし才能のかたまりだよね。大好き!」

 思わず弱音を吐きたくなりました。

「こんな中途半端な才能よりもイチゴちゃんみたいに可愛く生まれたかったなぁ」

 するとどうでしょう、彼女は驚くべきことを口にしたのです。