1ページ目から読む
6/6ページ目
彼氏でもないおじさんのファンタジーに付き合ってらんない
キャバ嬢はある程度したたかで煽り上手じゃないと成功しないお仕事だと思う。私は高いお酒をねだるとか、その気もないのにいかにも気があるように見せかけたり嘘をついたり、駆け引きをするのが本当に苦手だった。素のままで男の人を転がせるほど心が強くないんだな、きっと。
おじさんは枕するために何ふり構わず口説いてくるから、断る口実を考えるこっちの精神もめちゃくちゃ削られる。
「あー、ヤバい、イチゴちゃん、おじさんと話合わすのもう無理だわ。私、水商売に向いてないわ」
「ウチもだよ。同伴してやったんだからやらせろ、ホテルを取ったから今から来なさいって信じられない客がいてさ、しつこいしムカつくから行くね、待っててねってLINE送ってブロックしちゃった。二日前だよ、もうお店行くのヤダなー」
「うわ、きんもー! なんか、いちいちめんどくさいよね。酒だけ飲んで帰りなって思わん?」
「何千円の居酒屋ならそうだけど、やっぱ高い金払ったぶんファンタジーを求めてんじゃないかな」
「彼氏でもないおじさんのファンタジーに付き合ってらんないよね。でもお金は欲しいし……。くそっくそっ」
愚痴をお互い言い合えばいつも気持ちが晴れるのです。女友達はいつだって最高の宝です。男になんていくら嫌われたって構わないけど、女の子に嫌われるのは辛いのです。
私はメイド喫茶とキャバクラを掛け持ちして大学時代を駆け抜けました。
【続きを読む】「AV女優してますって手紙とDVDが入ってた」実家の母から伝えられた衝撃の事実…私の素性をバラした“意外な人物”とは