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整形に気づかない父。少し切なくなった。

 その夏帰郷しましたが父も母も整形したことに気づきませんでした。

 父は駅まで軽トラの助手席に愛犬を乗せて迎えに来てくれました。

「お帰り、スイカ冷やしてあっから帰ったら食べらい」

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「うん。わしちょっと変わってない?」

「化粧だべ、別にしなくてもいいんでねの?」

 私は少し切なくて、日向くさい犬の背中に鼻を埋めて目を閉じました。優しくてあたたかい、まるで石巻そのもののような我が父。でも整形してごめんなさいとは思いませんでした。

 DNAガチャでハズレたから課金しただけですから。美容整形はメイクの上位互換です。

キャバクラはセクハラを商品化した場所

 生きていくにはお金がいる。兎角この世は生き辛い。

 学費と家賃以外の仕送りを断ってからメイド喫茶のバイト代で生活はなんとか回せましたが、服にお金がかかりすぎて家計は火の車でした。

「あー、来月からシフト増やそう。お金全然足りない」

「めーたんお金キツいの? ウチもなんだ……。ね、ここより稼げるバイトがあるんだけどね、一人じゃ怖いから一緒に面接行かない?」

「なんのバイト? イチゴちゃんが一緒なら行く」

 そう言ってイチゴちゃんが連れていってくれたのはキャバクラでした。

 初めての水商売、お客さんはあからさまにこちらの容姿をディスるしいじってくるし、なかなかにストレスのたまる不愉快な場所でありました。社会学的に言えばキャバクラはセクハラを商品化した場所です。

 気に入ってもらえたら今度は遊ぼうとか彼女になってとか口説いてくる。要はやりたいだけなんです。こちらにその気がないとわかると嫌な態度を取られたり嫌味を言われて、精神的に疲弊しました。

 面白くもなんともないオヤジギャグに無理やり笑ったり、どうしようもない人にもお世辞を言わなきゃならないし……。でも一番キツかったのはひとことも喋らない人にもずーっと笑顔で話し続けなきゃいけなかったことかな。

 高い時給にはちゃんと理由があるんですよね。