1ページ目から読む
5/6ページ目
AVでもやらなきゃ……
「ねぇユウキ、ワシAV女優にならないかって誘われたんだけど」
「いやAVはやめときなよ。ずっと残るじゃん」
「でも12月イベントでしょ? AVでもやらなきゃユウキが欲しがってた300万のルイは下ろせないよ? どうすんの?」
「ほかの方法ないの?」
何カ月かはAVなんかやらないでと駄々をこねたくせに、結局は売り上げが欲しいからユウキは承知しました。
「……まぁ。でも、めいちゃんがやりたいならいいんじゃない?」
彼が一時止めてくれたことだけが救いでした。彼が困ったときに頼れるのは私だけしかいない。
『明治』は死にました。そして貴方のおかげで『高嶋めいみ』が生まれました。
高額のギャラは高額のボトルに化け、彼の懐を潤しています。
ソープで出禁にしたキモ客が、私の出演AVを母に
AVが発売されてから間もなく、実家の母から連絡がありました。
「あのね、うちに男の人からゆうパックが届いてね……」
「何だって? 誰から?」
「知らない人。めいが東京で今AV女優してますって手紙とDVDが入ってた」
「……え」
「……さすがにさ、これはキツいよ……」
私は申し訳なくて恥ずかしくて、それから実家には帰っていません。その後調べると、手紙の主は私がお店で出禁にしたしつこい客のおじさんでした。時間内だけ優しくしたのを愛だと信じ込み、結婚しようと迫ってきた人。その気持ちに応えられない私を「裏切った、騙された」と恨んでいた惨めなおじさんです。
遊び上手を気取っていたくせに、そこでふと思いました。私も人のことは笑えません。
情だ、感謝だと言葉を並べていましたが、この異常な行いは愛ゆえの執着ではありませんか。