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ああ、女か。客か。バカバカしい。
全然イケメンでもないし太ってるし、この人は絶対に私を捨てないと思っていたのに黙って帰ってこない夜が増えました。LINEしても既読にならないし、電話をかけても出ません。
眠れない……。
体は疲れているのに、冴えきった神経が眠りを拒んでいます。
私は、夜が怖い。
一人の夜、不意に寂しくて不安で堪たまらなくなる。
「私、何やってんだろ……」
誰もいない部屋を満たす厳かな闇は心の奥の恐怖と現実の境界を曖昧にします。
ふいに消えたくなり、涙が溢れます。
【なんで約束したのに帰ってこん? 連絡くらいできるでしょう?】
LINEは未読無視されています。
ああ、女か。客か。バカバカしい。
私はユウキの使ってる枕を蹴ってベッドから落としました。
私はホストの仕事に理解があり平気な振りをしていますが、本当は辛い。彼とこんな会話をしたことがあります。
「こんなに大金を使っているのに、何故そんなに雑にできるの?」
「えー優しくしてるじゃん。オレずっと一緒にいるよ? それじゃダメ?」
調子のいいことを言ったって、どうせ私にお金がなくなったら出ていってしまうんでしょう?
その言葉だけは飲み込みました。私にはプライドがあったから。私も悪態を吐き、意地を張りました。
「調子に乗ってると切るぞ」
「えー? 切れないでしょ? めいちゃん、オレのこと好きでしょ?」
子どものような笑顔で私の膝に顔を埋めて甘えてきます。私が流されやすいのを誰よりもわかっているのです。