ホス狂いの戦場が私の居場所
彼からLINEの返信があったのは翌日の夕方でした。
【ごめん! お店終わってから後輩と飲んで潰れて店で寝てたー】
【仕事ならまだいいけど、おまえは従業員と遊んでただけだろ。次はないって言ったからな。貴様は寮に戻れ!】
【ごめんなさい! 今日は帰るからね! すぐ帰るからね】
バレバレの嘘をつきやがってムカつくと思っても、あのとき死んでもおかしくなかった私を救ってくれたのはユウキだと思うと逆らえませんでした。彼もそのことを一番わかっていました。
自分がどんなに怠くてもお金を稼ぐために体を売りに行きました。風邪を引いてるのに何度も何度も入浴して手に入れたお金をトロフィーみたいな酒に変えて卓に並べ、自分がどれくらい狂っているのかマウントを取り合うホス狂いの戦場が私の新しい居場所になりました。
売り上げヤバい、と言われたら自分がどんなに無理をしてもなんとかしてやりました。それが私の喜びであり、生き甲斐でもありました。私のほうがヤバいときでも決してそれを見せませんでした。
休みの日に一日中寝てばかりで、起きたらゲームをしながらお客さんとLINEのやり取りをしている姿を見ているとこう思わずにはいられない。
いいご身分だな。おまえは世界の支配者か。
他のお客さんと遊びに行って泊まるのは営業だし仕方ない、でも何処に誰と行くのかは報告してほしい。私もお客で彼女じゃないし、自信がないから。
連絡がないと「何してるの?」って聞きたくて、でも我慢している。嘘の答えしか返ってこないし。うるさいヤツだと思われたらプライドが傷つく。しつこく何処にいるのか聞き出すなんて、私のキモ客と同じになってしまうから。
私は黙々と稼ぎ、気前よくざあざあと使いました。そして、とうとうお金が回り切らなくなってしまったのです。