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《古賀欠場の“大きすぎる穴”》女子バレー・中田ジャパン コート外の「派閥」問題

同じ寮に住み、選手のプライベートも観察した監督 #1

2021/07/31
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「チーム日誌」導入で選手20人の本音が…

 チーム力を強固にするため、選手にチーム日誌を書かせた。20人の選手が、毎日1人ずつ、順番に書き連ねる。当初は遠慮がちに口当たりのいいことを書いていたが、そのうち本音をぶつけ、次第に選手間の心の垣根が取り払われ始めた。

「誰かがミスして“ごめん”と謝っているうちはまだ本物じゃない。他人のミスは自分のミスとして捉え、個の集団ではなく、チーム自体が1つの顔にならないと。『私』ではなく『私たち』あるいは『チーム』が自然に主語として口を衝くようにならないと、チームスポーツで本当の力は発揮できない」

 その一方、選手には「なぜ」「どうして」を繰り返し、徹底して考えさせた。174㎝と身長は低いものの、技術の高さに定評がある新鍋(しんなべ)理沙は、中田に出会い、バレー観だけでなく人生観も変わったと語る。

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岩坂名奈(左)と新鍋理沙(右) ©文藝春秋

「久美さんはいつも選手のことを1番に考えて下さって、選手同士でも気づかないちょっとした変化も察知する。レシーブ時の間の取り方、スパイク時のステップの踏み方などの技術的なことはもちろん、試合や練習の後に、『何を考えあのプレーをしたの?』『なぜ、そう判断したの?』と徹底的に質問される。でも、ヒントはくれても答えはもらえない。だからワンプレーワンプレーを考えながらやる癖が付きました」

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