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《古賀欠場の“大きすぎる穴”》女子バレー・中田ジャパン コート外の「派閥」問題

同じ寮に住み、選手のプライベートも観察した監督 #1

2021/07/31

「3人寄れば派閥が生まれる」女子バレーの難しさ

 中田は、選手に考えさせる作業を頑なに行う。そのため試合はもちろん、練習から選手の仕草、会話、動きなどを事細かにチェックし、夜はビデオを見ながら1人ひとりのプレーや動きを確認。中田が、微に入り細に入り選手の動きをチェックする理由を語る。

「選手に考えさせる以上、選手の“今”を知る必要がある。そこの判断を間違えてしまうと、選手の成長を妨げかねません。トコトン考えさせるのは、眠っている意識を顕在化し、意識レベルに昇華させる、つまり“バレーIQ”を引き上げることなんです。それに考える訓練は、バレー以外でも役に立つはず」

©文藝春秋

 声をかけるタイミングも緻密に計算する。選手の個性や悩みの状況により、時、場所、言葉、声のトーンまで変えるという。

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 久光を一足飛びに成長させた手法は、代表監督になっても変わらない。いやむしろ、益々磨きがかかったと言っていい。強豪国に身体で劣るなら、頭脳と心の強さで勝負しようと、選手への観察眼はさらに鋭さを帯びていく。

 全日本は各チームの寄せ集め。女性は3人寄れば派閥が生まれると言われるが、グループが出来ないように目を光らせる。

「人はつるむと必ず愚痴を口にする。愚痴は人の成長を妨げてしまう。あるいは本音は違うんじゃないかと勘ぐったり、チーム内の関係性ばかり気にするのは、時間の無駄だし余計なエネルギー。コート以外で選手に一滴も無駄なエネルギーを使わせたくない」

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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