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夜の江の島は無法地帯……とまではいかない?
ナンパに敗れて渋い顔で帰路につく男性にも話を聞いた。
「今年も由比ガ浜の海水浴場は閉ざされているので、人がこっちに流れてくると思って来てみました。期待通り意外と人はいたんですけど、水着の女の子が少なくて、チラッと海を見に来たってだけの子が多くて……成果なしですね。ところで、さっきからアレが気になってしょうがないです」
男性の視線の先を辿ると、砂浜で20~30人ほどの集団がダンスや談笑に興じていた。18時を回っても、日暮れを惜しむように宴は続いている。
前出の飲食店スタッフは、こう話す。
「昼はわりと平和だけど、夜はひどいよ。江の島駅なんて、ワイヤレスのスピーカーで音をガンガン鳴らして、駅前で缶ビール飲みながら、女の子をナンパして踊ってる、みたいな。以前は当たり前のようにやってたようなことでも、このコロナ禍の日本でやられるのはちょっとキツいですよね」
海岸周辺の飲食店が閉まり出す20時頃になると、行き場をなくした海水浴客が近隣のコンビニや片瀬江ノ島駅周辺にたむろする光景が見られた。路上飲酒やナンパは繰り広げられているものの、大声を出してバカ騒ぎする者はこの日見られず、人出のわりに静かなものだった。
決して褒められることではないが、海で働く人たちと同様に、海水浴客たちもまた、世情にあわせて“通常運転”のギアを落として楽しんでいるようだった。