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《青酸カリ殺人》「会うてまだ2回目やのに、なんでそないなことを言うのか」破談した男性(82)が語る“筧千佐子”の不審な言動

『連続殺人犯』より#4

2021/08/16

source : 文春文庫

genre : 読書, 社会

note

「若く見え、会話のテクニックがある人でした」

 実際に彼女が利用していた結婚相談所の代表は明かす。

「年齢よりも若く見え、会話のテクニックがある人でした。声のトーンとかテンポが良く、自分の伝えたいことをすべて会話に詰め込んで、相手に納得させるタイプです。たぶん普通の人やったら話術に翻弄(ほんろう)されてしまうと思います。彼女は子供や親族が近くにいない相手を希望していて、持ち家があり、貯(たくわ)えがそこそこある人がいいと話していました」

 一方で、実際に千佐子と見合いしたものの、その言動に不審を抱き、破談にした相手もいる。和歌山県の製材所に勤務する82歳の男性は振り返る。

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「結婚相談所を通した1回目の見合いで気に入り、2回目は2人きりで会いました。そんときに、もし結婚して僕が死んだらいう話題になり、『私、1人で残されたらどうしたらいいの?』て訊かれたんです。会うてまだ2回目の見合いの席やのに、なんでそないなことを言うのかと思い、こちらから断りを入れました。もしあんときに付き合うてたら、僕も殺されとったでしょうね」

 千佐子は筧さんと入籍した直後に、“その先”を見越してか、独身だと偽って見合いを重ねていた。だがそこでも相手の資産についての話を持ち出したことから、「あれはあかん」と先方に断られたりもしている。

 またその男性とは別に、筧さんが死亡する13日前に彼女と見合いをし、筧さんの死を挟んで警察の捜査が進むなか交際を続けた男性もいた。その男性に対して京都府警は、事件の内容は言えないが、千佐子について刑事事件で動いていることを説明し、警察のことは言わずに別れるよう説得。男性は渋々了承し、彼女に別れを切り出している。

 千佐子が結婚相談所を利用し、約16年の長きにわたって続けてきた“後妻業”の日々は、これをもって終焉を迎えたのだった。

 17年11月、京都拘置所で千佐子との面会を始めた私は、心の中に決めていることがあった。