「感染者4000人程度で…」フランス人ベテラン記者の不満
「バブル方式」は、東京オリンピックを開催する上で決められたことで、決まりを破ればすぐにIDを没収される。ただ、ダバディ氏が「今、東京は1日に約4000人の感染者が出ている。日本でコロナ禍が始まって18カ月で最悪の状況」と伝えても、60歳のフランス人ベテラン記者はこう不満を漏らしたという。
「東京都の人口が約1400万人にいる中の4000人程度でなぜこんなに厳しいのか理解できない。4万人なら分かるが、決められて泊まっているホテル内でもレストランに入れないし、朝食は簡単なサンドウィッチが部屋に届けられただけ。私は日本に来る前にちゃんとワクチン接種を2回受けて、証明書も持っているのに」
こうした現実を見ると、東京オリンピック招致が発表された2013年9月7日、滝川クリステル氏が訴えた「お・も・て・な・し」が、海外プレスに対して実現しづらくなる。
ホテル、移動、食事のケア以外の運営は素晴らしいが…
「仕事をする上で、MPC内の運営は素晴らしい。スペースもしっかりあって、無線ランを含めて設備は完璧。取材のアポイントも手伝ってくれます。そういった意味での『おもてなし』はできていますが、多くの海外プレスは、ホテル、移動、食事がちゃんとケアされていないことで、帰国しても『東京オリンピックは素晴らしかった』とは思ってくれないでしょうね。残念ながら」(ダバディ氏)
ダバディ氏自身は、ゆりかもめのテレコムセンター駅近くにある「フランス国営テレビ特設スタジオ」に滞在する時間が長いという。「食にこだわるフランス人」ゆえに、スタジオ内では、夕食用フルコースのフランス料理が準備され、国営テレビ局員は無料で食べることができる。ただ、ダバディ氏自身は契約のリポーターゆえに、1食につき約3500円を支払う必要があるため、「週2回程度にしています」と苦笑いする。