強度近視は合併症のリスクが高く、特に注意が必要だが、簡易的にいますぐチェックする方法がある。使うのは、自分の指だけだ。まず指をできるだけ目から離し、指紋を見る。そして徐々に近づけながら、指紋が初めてくっきりと見えた時の距離を測定する。もしこの距離が16センチ以下であったなら、要注意だ。ただ、16センチより離れていたとしても、合併症の危険がないわけではない。近視であれば、いずれにしても定期的な眼科の検診を受けることがベターなことに変わりはない。
様々な合併症のリスク
WHOが近視を世界的流行と位置づけ、「公衆衛生上の危機」と警鐘を鳴らす理由も、これらの様々な合併症のリスクだ。特に強度近視では、そのリスクが高まる。
つまり、彼らは近視人口が大幅に増加することで、強度近視の人口も比例して増加し、合併症による失明者数も増加してしまうのではないかと危機感を抱いているのだ。
特に近視が進むのは、体の成長が著しい20歳前後まで。発症が早ければ、その分だけ到達する近視の度数も悪化する可能性が高くなる。近視人口、強度近視の割合、合併症による失明者数を減らすためには、早期の対策が必要というのが世界的なコンセンサスなのだ。
予想外の病気と関係も
取材を進めると、目の機能の低下が、予想外の病気と関係がある可能性も見えてきた。
例えば、近視との関係では東京医科歯科大学先端近視センターの強度近視外来の患者を調べたところ、大幅な視力の低下がなくとも、将来、視機能が低下するのではないかという不安から、うつ病や不安障害を発症する率が非常に高いことが報告されている 。
近視の進行と、脳や全身の疾病への影響については、近年の研究でわかってきたことばかりだ。これまで「メガネをかけて矯正すれば大丈夫」と言われ続けてきた「常識」が、いま大きく転換しているのだ。