視力の低下を矯正しようとメガネをかけるのは当然だ。しかしどのようなメガネを選ぶかによって、その後の人生が大きく変わってしまう可能性があるかもしれないと聞くと、驚く方も多いのではないだろうか。

 大人も子どもも悩まされる目の問題。正しい対処はどのような方法なのだろうか。元NHK番組ディレクターである大石寛人氏の著書『子どもの目が危ない 「超近視時代」に視力をどう守るか』(NHK出版)より一部を抜粋し、紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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子どもも「眼精疲労」に陥る

 近視はともかく、こと眼精疲労に関しては「大人の話でしょ?」と思われるだろうか。

 じつは、いまや子どもの眼精疲労は大きな社会問題になっている。まず日本眼科医会の「子どものIT眼症」という項目を見てみよう。IT眼症とは、デジタルデバイスを多用することによって生じる目および全身の症状のことで、眼精疲労と言い換えてもよい。

「画面を一生懸命見ていると、1分以上まったく瞬きをしないことがあります。特に子どもでは角膜を覆っている涙の膜がしっかりしているため、2~3分間は瞬きしないでも平気です。しかし、長時間画面に向かっているとやはり目が充血してきて、乾燥による角膜障害が起きています。また長時間、同じ姿勢、同じ距離で画面を見ることによって首の緊張や眼筋の緊張が生じて、身体的緊張にまでつながります。これが長期間続くと、さらに自律神経の失調まで引き起こすことがあります」

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外出自粛によるデジタルデバイスの使用時間の増加

 要するに、子どももデジタルデバイスを長時間使用すると眼精疲労に陥る、ということが書いてある。要注意なのは、子ども自身がそれに気づきにくいという点だ。

 子どものデジタルデバイスの使用時間は、多くの子どもについて、過去に比べて増加している。これは、序章で述べたデジタルデバイス普及率の推移からも推測できるだろう。

 さらに心配なのが、新型コロナウイルスによる影響だ。ここで言う影響とは、感染自体によるものではなく、感染予防のための外出自粛などの生活の変化が子どもの目に及ぼす影響のことだ。