ゲームは進歩が非常に速く、どんなに優れた作品でもすぐに陳腐化してしまう。しかし、それでも時を超えて愛され続けるゲームがある。そのひとつが『リズム天国』だろう。

『リズム天国』は、2006年8月3日にゲームボーイアドバンス用に発売されたリズムゲーム。本日2021年8月3日で15周年を迎えるわけだが、未だに本作の魅力は衰えない。それほどにオンリーワンでナンバーワンといえる作品なのだ。

『リズム天国』公式サイトより

 本作は、ミュージシャンであるつんく♂氏自身が企画書を提出し、任天堂が開発したゲームである。内容はリズムに合わせてボタンを押す「ノリ感ゲーム♪」となっている。

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 遊んだことのない人は「たったそれだけ?」と思うかもしれないが、むしろこれこそが人々の心を掴んだ。本作は、平成18年度の文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞も獲得しており、15年経ったいまでも忘れられない一作なのである。

「音ゲー」ではない「リズムゲーム」

 つんく♂氏が本作に関するインタビューで語っているように、本作はかつての「音ゲー」(音楽ゲーム)に対する疑問から生まれている。当時の音ゲーは、画面に出てきた指示に合わせてボタンを押すなどして演奏を楽しむものであった。

初代『リズム天国』にも収録されている「リズム脱毛」 画像はリズム天国 ザ・ベスト+ 紹介映像 - YouTubeより

 しかし、音ゲーは「指示に合わせてボタンを押すだけのゲーム」にもなりえていた。画面に出てくる指示を目で認識して押せば問題ないケースも多く、音楽にノって曲を作り上げていくというよりは、モグラ叩きをしているかのような体験になってしまうケースもしばしば。もちろん現在の音ゲー事情からすれば話は変わってくるだろうが、確かに当時はその懸念があった。

 そこでつんく♂氏は“リズム”に着目する。『リズム天国』が「リズム感を鍛えることもできる」という形で売り出されていたように、本作は目で見てボタンを押すことよりも、リズムにノればノるほどうまく遊べるゲームとして考案されたのである。