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【発売から15年】つんく♂プロデュースの任天堂ゲーム『リズム天国』が“唯一無二”な作品として支持され続ける理由

2021/08/03

genre : エンタメ, 娯楽

 このほかにも野菜のヒゲを抜く「リズム脱毛」、リズムに合わせて文字を書く「リズムおしゅうじ」、盆踊りの歌詞に合わせて合いの手を入れる「ザ・ぼんおどり」など、とにかく種類豊富で飽きさせない。それぞれに合わせた楽曲もつんく♂氏が提供しており、曲数は30以上にものぼる。

 『リズム天国』は従来の音ゲーの枠を越え、リズムにノる行為の楽しさを大きく打ち出した。挑戦的な試みでありながら完成度の高い一作に仕上がっており、人気ゆえにアーケード版も登場したほど。しかし、完成度が高すぎるがゆえに困ったことも起こる。

続編が前作を越えられない

 確かに『リズム天国』は素晴らしいゲームだったが、2008年7月31日にニンテンドーDS用に発売された続編『リズム天国ゴールド』のほうがよりヒットを記録した。販売本数は150万本以上で、おそらく『リズム天国』よりも『リズム天国ゴールド』を楽しんだ人のほうが多いだろう。

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『リズム天国ゴールド』にも収録されている「ウラオモテ」 画像はリズム天国 ザ・ベスト+ 紹介映像 - YouTubeより

 『リズム天国ゴールド』はさらにゲームとして進歩し、ニンテンドーDSのタッチ操作を活用したさまざまなリズム遊びが用意されていた。しかし、進歩したにもかかわらず、リズムにノる楽しさはむしろ前作のほうが上だったのである。

 理由はふたつある。まずひとつは、『リズム天国』もまた音ゲーの呪縛にとらわれていたということ。続編には「ウラオモテ」というミニゲームがあり、これはプレイ中にリズムの表と裏が変わるので、プレイヤーがうまくリズム感を切り替えねばならず、かなり難しく感じられる内容だった。

 一定のリズムで操作するのはそこまで難しくないが、リズムの表と裏の概念が出てくると途端に難しくなる。もちろんこれもノることができれば楽しいのだが、かつての音ゲーにあった「やたらと高難度化しがち」な問題に陥ったかのような状況になっていた。