プレイヤーと音楽を一体化させて快感を生み出す
作中に収録されているミニゲームは、すべて音楽にノればうまくプレイできるものだ。その特徴が特に顕著なのが「ナイトウォーク」である。これは指定された場所でジャンプして穴を避けるような内容なのだが、一定のリズムに合わせてボタンを押し続けるだけでクリアできる。耳をすませば、もはや画面を見なくてもクリアできるのだ。
不思議なことに、ただボタンを押す行為もリズムに合わせるとびっくりするほど楽しくなる。音楽を楽しむ人が曲に合わせて体を動かしたり頭を振ったりするように、身体の動きと音楽が一致すると気持ちよさが何十倍にもなる。本作ではうまくボタンを押すと心地よい効果音も鳴り、画面演出で体験をさらに盛り上げる。もはや、『リズム天国』はプレイヤーと音楽を一体化させて快感を生み出す装置とすらいえるのだ。
この「リズムに合わせてボタンを押す行為が驚くほど楽しい」という発見を世に知らしめたのが『リズム天国』なのである。
“ヘンなゲーム”としての顔
当然ながら、『リズム天国』には任天堂らしさも存在する。本作は『メトロイド』シリーズなどで知られる坂本賀勇氏が共同プロデューサーを担当しており、『メイド イン ワリオ』シリーズの開発スタッフも多数参加しているようである。
『メイドインワリオ』シリーズは、さまざまなプチゲームがたくさん収録されている奇妙な作品だ。たとえば鼻水をすする、タイミングよく釘を打つ、携帯ゲーム機を回して『スーパーマリオブラザーズ』をプレイするものなど、ヘンなミニゲームを連続で遊ぶのがおもしろいというのが大きな特徴となっている。
『リズム天国』も同様の流れを汲んでおり、非常に相性がよかった。本作では一番最初に「カラテ家」というミニゲームをプレイすることになるのだが、これは「リズムに合わせてボタンを押すと空手家がものを破壊する」というわかりやすくも奇妙なものである。