こうした「ベタ付け」タイプの煽り運転は特に日本で多く見られると語るローマンさん。道の狭い日本では抜こうと思っても抜けずに苛立ち、前を走る車に八つ当たりするという局面が生じやすいのかもしれない。「追い抜き」以外にも、道の狭さによって「思い通りの運転」ができず、小さなイライラが蓄積するなど、場面を挙げればキリがないだろう。
「道の狭さ」に起因する譲り合い文化
「道の狭さ」という環境的要因によって引き起こされるのは、もちろんネガティブな振る舞いだけではない。ローマンさんは次のように続けた。
「でも、だから酷い事故は日本の方が少ないのかもしれません。ロシアだと、山道の見えないところで追い越しをかけてぶつかることがあります。
日本のドライバーを観察する外人 pic.twitter.com/6kyXpporRR
— スルー・ガイジン・アイズ (@GaijinRoman) July 22, 2021
また、狭い道のすれ違いも日本人は上手ですね。向こうからやってくる車をよく見て、広いスペースに入ってすぐ止まります。だからバックして戻ることは少ないです。もしみんながロシア人だったら困りますね。(狭いところで止まってお見合い状態になり)『どういうこと!?』って動かなくなるよ(笑)」
狭い道が続く日本では、それにともない「譲り合い」の場面に触れる機会も多くなる。「スルー・ガイジン・アイズ」の動画内でも、ローマンさんが譲った車から「サンキューハザード」を出され、「『ありがとう』をもらいました」と喜ぶシーンがしばしば取り上げられている。
「日本は道が狭いから誰かを行かせて、よく『ありがとう』してもらいます。時々、ちょっと怒るようなことがあっても、すぐハザードで『すみません、ありがとうございます』と言われれば、怒らないし嬉しくなります」
「クラクション」の受け止め方は国によって異なる?
何かが始まったw pic.twitter.com/hMaTz1NXbF
— スルー・ガイジン・アイズ (@GaijinRoman) July 19, 2021
ローマンさんによれば、相手ドライバーに感謝の意を伝えるハザードの用法は、アメリカやロシアでも見られるという。ただ、日本で稀に見られる「クラクションによる感謝」は、アメリカでは意図が伝わりにくいようだ。
「アメリカ人の友達を乗せて道を譲ったときにビープ(クラクション)を鳴らされて、友達は『あのドライバーは怒っている』と考えました。私が『これは怒ってるんじゃなくて、ありがとうっていってるんだよ』と説明しても、『いや、あれは怒った、怒ったんだ』と。アメリカだと怒ってる人がよくクラクションを使うから、『ありがとう』だとはあまり思われないんでしょう。
また、日本では『ビッ』とあまり長くクラクションを鳴らしませんが、アメリカもロシアもその辺りは我慢できない。信号が緑なのに前の車が進まないと、1秒もすれば『早く行って、バカ、私は急いでいる!』とロシアでは『ビーッ!!』です」