悲惨な事故の原因となりうる「煽り運転」が社会問題となり、ドライブレコーダーの普及が進むなか、SNSやニュースメディアで「車載動画」を目にする機会が増えている。
YouTubeなどで車載動画を専門に配信する個人ユーザーも多いなか、このところファンを増やしているのが、「外国人から見た日本の交通マナー」に焦点を当てた「スルー・ガイジン・アイズ」というコンテンツである。
動画を配信するのは、ローマンさん。カザフスタンに生まれロシアで育った同氏は、ロシアとアメリカで運転経験を持ち、日本に来てから5年が経つ。趣味であるツーリングの傍ら、TwitterやYouTubeにバイクの車載動画をアップし、日本の道路や交通マナーに対する戸惑いや驚きを伝えている。
動画の特徴は、速度違反や割り込み、煽り運転などに対するローマンさんの独特な日本語でのリアクション。横暴なドライバーを「ならず者」と呼びつつも、暴走行為に対して「妻が出産しているのかもしれません」などとウィットに富むフォローを入れる。誰かを糾弾するような姿勢がないために、多くの人が自然に共感しているようだ。
今回はローマンさんに、「日本の交通マナー」について思うところを聞いてみた。
◆◆◆
「車間距離を詰める」タイプの煽り運転は日本に多い?
運転マナーに関する「ならず者」といえば、やはりまず「煽り運転」が思い浮かぶ。ローマンさんも、後ろから車間をベッタリ詰められるタイプの煽りが「一番嫌い」だという。
「私も遅くないスピードで走っているのに、後ろからスゴイ近くまでやってくる。私にはそうする理由がわからない。『私はあなたより速い』って言いたいのかな? やめてください、危ないから……。もちろん、こうした運転は他の国でもあります。でも、ならず者について考えると、日本ではそれを最初に思いつきます。
こういうとき、ロシアではすぐ反対車線に出て追い抜きます、すぐサヨナラ。日本はそうする人が少ないです。(追い越し禁止の)黄色線の道路ではもちろんダメですけど、白線でも抜いていく人はあまりいません」(ローマンさん、以下同)