小室プロデュースで芸能界の栄枯盛衰を味わう
デビュー後の最初の転機が1991年の『ごっつええ感じ』レギュラー出演だとしたら、次の転機は間違いなく、1994年にリリースしたシングル曲『恋しさと せつなさと 心強さと』が大ヒットしたことでしょう。
実はそれ以前も、ソロ歌手として3枚のシングルをリリースしていましたが鳴かず飛ばずの状態でした。しかし、『恋しさとせつなさと心強さと』は時代の寵児だった小室哲哉さんプロデュースということもあり、女性ソロ歌手として史上初のダブルミリオンという偉業を達成したのです。
『NHK紅白歌合戦』(NHK)出場も果たし、トップアーティストの仲間入り……と思ったのも束の間、篠原さんのソロ歌手としての旬は長くはありませんでした。その後のシングル曲も週間シングルチャートでトップ10入りは果たしたものの、新曲リリースごとに次第に売れ行きは失速。さすがに“一発屋”とまでは言いませんが、時代を越えても語り継がれるレベルでヒットしたのは『恋しさと せつなさと 心強さと』のみだったのです。
篠原さんは昨年4月、トークバラエティ番組『1周回って知らない話』(日本テレビ系)に出演。その際、アーティストとしての人気が右肩下がりになっていった頃、「(自分が歌手として人気になれたのは)やっぱり小室さんの力なんだな」と痛感していたと語っていました。
脇役からいつしかキムタクと肩を並べる女優に
ソロ歌手として挫折を味わいながらも音楽活動を続けるかたわら、篠原さんが力を入れ始めたのが女優業でした。もちろんいきなり主役やヒロインを演じられるわけではなく、バイプレイヤーとして起用されることが多かったのですが、数々のドラマで“脇でいい味を出すキャラ”を好演していました。
筆者が特に印象に残っているのが木村拓哉さんとの共演作。
萩原聖人さんと木村さんがメインで出演していたドラマ『若者のすべて』(1994年/フジテレビ系)や、木村さんの連続ドラマ単独初主演となったドラマ『ギフト』(1997年/フジテレビ系)に、篠原さんは出演していたのです。
『ギフト』で演じたのは、木村さん演じる主人公に好意を抱き、自由奔放につきまとう能天気な女。個性的な愛すべきキャラクターでしたが、あくまで主演の木村さんを支える脇役でした。
しかし、2010年の木村さん主演の恋愛ドラマ『月の恋人~Moon Lovers~』(フジテレビ系)では、木村さん演じる主人公の恋の相手となるヒロインを演じているのです。篠原さんの役者としての格がここまで上がったのだと、証明したドラマだったと言えるでしょう。