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「実は私、どんくさいんです」
13年から全日本選手権を制していたが、出場を確実なものにするため、さらに技を磨いた。19年まで7連覇を遂げ、出場1枠の切符を確実にした。
大阪で生まれた清水は、兄の影響で小学3年から道場に通い始めた。兄はすぐに止めてしまったものの、清水は形のカッコよさに憧れのめり込む。中学ではほぼ毎日道着に身をつつんだ。だが全国大会ではよくて3位止まり。
「実は私、どんくさいんです。だからみんなの何倍も練習しないと身につかないし、そもそも形の意味さえ知らず、ただ真似ることしか考えていなかったので、結果は当然でした」
ジャックナイフのような切れ味を持つ清水が、かつてはどんくさかったとは意外だった。それでも中学時代は他人の何倍も練習し、空手の奥義へ僅かな道が見えた気がしていた。もっと極めたい。空手の強豪校である東大阪大学敬愛高校に進学を希望したが母が猛反対。空手はあくまで稽古事と捉えていたからだ。しかしいつも素直な娘はこの時ばかりは折れなかった。
「進学した高校はインターハイを連覇している強豪校。でも、私が2年の時に連覇を止めてしまったんです。先輩たちに申し訳なく、辞めてしまおうとも思ったんですけど、負け犬のまま終われないって……」
負けた原因を分析してみると、心の弱さだった。以降、心を鍛えようと心理学やメンタル本、アスリート本を読み漁り、参考になる言葉や考えをノートに記した。ノートが何冊にもなったころ変化が訪れた。