「胸を触られた」「お尻をなでられた」「膝の上に座ってお酌しろと言われた」…

 いまどきどこの世界の話かというと、日本の選挙の話である。胸がムカムカするような候補者に対するセクシャル・ハラスメントが今も選挙の裏側で起きている。「俺は票を持っているから、欲しいなら飲み会に来なさい」から始まる「票ハラスメント」は本当に悪質だ。

女性の衆院議員は約1割

「票ハラ」の実態について語られたのは、超党派の女性国会議員による「クオータ制を実現するための勉強会」でのことである。「クオータ(quota)」は「割り当て」という意味で、議員候補者の一定数を女性に割り当てる制度をクオータ制と呼ぶ。今年5月、田原総一朗さんが座長、私が事務局長として立ち上げたこの勉強会では、自民党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、日本共産党、国民民主党、社民党から、野田聖子さん、辻元清美さんなどの女性議員が参加して意見交換を行っている。

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 そもそも国会ではこれまでも多くの議員が、女性の国会議員を増やすべく汗をかいてきた。

クオータ制を実現するための勉強会の様子。奥が田原総一朗さん、左が事務局長の筆者 写真:筆者提供

 その努力のかいもあって、2018年には「候補者男女均等法」が成立し、前国会では改正法も成立した。政府には男女共同参画局があって、女性活躍推進やポジティブ・アクションなどこれ以上ないほどの調査、研究、提言もされている。それにもかかわらず女性候補者割合の数値目標設定はいぜん努力義務にとどまり、女性の衆院議員は9.9%、世界経済フォーラムによる2021年版政治分野のジェンダーギャップ指数で日本は世界147位だ。

 一体なぜ日本では女性の国会議員が増えないのか。各党が抱える課題や障害を議論する勉強会で明らかになったのは、耳を疑うような女性候補者への「票ハラスメント」の実態だ。