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 選挙制度も大きな壁だ。小選挙区制度では自民党を筆頭に多くの政党が「現職優先」の方針をとっている。男性国会議員が多い現状で「現職優先」となると、女性候補を新しく擁立することは不可能に近い。では「比例代表で」といっても、かなり小選挙区に強い党でない限り女性を比例に優先配分していくというのは難しくなる。勉強会ではもっと幅広い人材が政治に参加できるような選挙制度を検討する時期ではないかというテーマが、自民党を含めて前向きに議論されたのは意外だったし、これはぜひ進めてほしいと思う。

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見えてきた有権者との意識のズレ

 それにしても少子高齢化、労働人口の減少、福祉・年金問題に至るまで日本の将来に陰を落とす大問題、議員にとって「票になる」政策課題の底辺に、ジェンダー格差や女性の働き方、男性のワークライフバランスという、日本が世界に大きく遅れをとっている問題が深く関わっていることがどうして議論されないのだろう。その一方で、先の東京都議選では女性の当選者が過去最多を更新、当選者のうち女性の占める割合が32%ということが話題になり、有権者はすでに女性候補の目線に目を向け始めているのを感じる。

 クオータ制というと女性優遇だとか男女の席の取り合いのように言う人もいるが、むしろ男女、性別にかかわらず様々な環境にいる人たちにとって、より生きやすい社会をつくるために、もっと幅広で多様性のある人材を国会に送るためのシステム作りの議論である。

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 8月17日に開催される第4回「クオータ制を実現するための勉強会」では、これまでの議論を踏まえて、各党が今秋に行われる見通しの衆院選に向け女性候補擁立にどう取り組んでいくのかをまとめ、シェアをすることになっているのでまたお伝えしていきたい。