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 といった吐き気がするような時代錯誤の話も出てくる。こんなの男性候補者にとっても迷惑な話だろうが、ソーシャル・ディスタンスが求められるコロナ禍では、女性が立候補しやすくなるのではと妙な希望さえ抱く状況である。今回の改正法によって環境が改善されることを期待するが、あまりにひどいセクハラについては今後罰則を設けるくらいしないとだめなのではと思ってしまう。

女性候補擁立に立ちふさがる“3つの壁”

 さらに国会議員になってからも、例えば出産のために国会を欠席せねばならず法案に投票できないと「だから女は」とネガティブにとられるという意見が出た。なんと理不尽なことかと思う。「オンライン投票をできないか」という要望も出たが、年配の男性議員からは、憲法56条にある「出席議員」という言葉の「出席」は実体があって体温が感じられることが前提だから、と言われるそうだ。たしかに憲法はインターネットを前提にしていないとはいえ、今の時代にマジかよである。

 勉強会を通して、女性議員を増やすことへの主な障害はこの3つに集約されることがわかってきた。

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写真:筆者提供

(1)セクハラやマタハラ(マタニティ・ハラスメント)など女性が立候補しづらい環境

(2)家(地元)を守る人がいないと、出産・子育てと両立するには過酷すぎる国会議員の働き方

(3)そもそもクオータ制を取り入れるのが難しい小選挙区制度

 議論を聞きながら遠い目になってしまうほど厚すぎる壁である。

 地元は妻に任せて自分は国会中心という男性が多くを占める永田町では、誰かの援助がない限り子育てや家事と両立が難しい国会議員の働き方を改善しようという動きは鈍い。当然「クオータ制」についても無関心な議員が多いという。協力を求めても「票にならないからなあ」と言われることも多い。もちろん熱心な議員もいるが、国会全体として国民の関心が低いことを理由に後回しにするため、結局ジェンダーが「流行り」にのった表面的な議論にしかならないというのが日本の現実だ。