ドロ汚れを落とすポイントは2つ
――でも、スポーツのドロ汚れとか靴下の黒ずみは、多めに洗剤を入れた方がよく落ちますよね?
茂木 ドロ汚れは、汚れがかたまりのまま繊維にこびりついた状態なので、多めに洗剤を入れたからといって落ちることはありません。逆に洗剤を多く入れすぎると、泡が立ちすぎてその泡が汚れを保護する方にまわって、繊維から汚れが出づらくなってしまうため、かえって汚れが落ちにくくなってしまいます。
ドロ汚れを落とすポイントは、2つあります。1つは、液体洗剤より洗浄力の高い粉末洗剤を使うこと。そしてもう1つは水の温度です。
洗濯の手順としては、まず、弱アルカリ性の洗濯用液体洗剤と水を1対1で混ぜたプレウォッシュ液を吹き付けたあと、汚れの目立つ部分を洗濯ブラシでトントンと叩いて15分放置します。次に、40℃以上のお湯に粉末洗剤を溶かし、30分~1時間ほど「つけ置き」したあと、洗濯機で1分ほど脱水。その後、普段通りに洗濯機で洗えば、驚くほどきれいになります。もし、ブラシだけで完全に汚れが落ちない場合は、つけ置きの段階でもしっかり手でもみ洗いすれば、きれいになると思います。
濡れた状態は繊維がいちばん弱っている
――つけ置きのあと、そのまま洗濯機に入れてはいけないのですか? なぜわざわざ脱水が必要なのでしょうか。
茂木 つけ置きは汚れを浮かせますが、「脱水」は、その汚れを衣類から離す役割なんです。それと、衣類は水に濡れている時がいちばん傷むから、できるだけ水に浸かる時間は短いほうがよいです。タテ型洗濯機ならつけ置きした洗剤液ごと洗濯槽に流し入れてもいいのですが、叩き洗いで汚れを落とすドラム式では、より生地が傷みやすくなります。
「乾燥機を使うと生地が傷む」という話もよく聞きますが、これも水に濡れた状態でいきなり熱をかけるからです。濡れた状態は繊維がいちばん弱っています。そこに熱を与えるから、縮んだり、伸びたり、傷んで毛玉になったりしてしまうのです。乾燥機を使う場合は、6~7割部屋干ししてそのあと乾燥機にかける、ゆるやかに熱を加えるやり方が、服のためにはベストです。