東京大学学生で「平和教育の教育空間」について実践と研究を進める庭田杏珠氏と、同大大学院教授でデジタルアーカイブを研究する渡邉英徳氏が取り組む「記憶の解凍」は、AIと人のコラボレーションによって、凍りついていた記憶を「解凍」し、戦争体験者の「想い・記憶」を未来に継承する営みである。
戦前から戦後の白黒写真を、AI技術・当事者との対話や資料などをもとにして人の手で彩色。カラー化した写真は貴重な証言とともに『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(光文社新書)にまとめられ、大きな話題を呼んだ。
ここでは同書より、戦前から戦中に撮影された写真10点を特別にセレクトし、一挙掲載する。(全2回の1回目/後編を読む)
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(1)防毒マスクを着用して訓練する浅草寺の僧侶
1936年5月30日、日中戦争に向けて、想定される空襲に備えて防毒マスクを着用し、訓練する浅草寺の僧侶たち。
(2)戦前、幼稚園での食事会
無得幼稚園の食事会。無得幼稚園は、誓願寺(現在の広島平和記念資料館・本館南側の広場に立地)内に位置していた。当時の中島本町には幼稚園が少なかったため、町内の子どもたちは無得幼稚園に通っていた。冬季には、ストーブの上に網をかけ、アルミの弁当箱を温めて食べていたという。同じく、この幼稚園に通っていた濵井德三さんは、ストーブで温めていた弁当を、いざ食べようとしたところ焦げてしまっていたと、楽しい失敗談を語った。