1ページ目から読む
4/5ページ目

新在逆転のナゾの答えは…

 だいぶ市街地を歩くのに時間を使ってしまったので、このあたりで宇都宮駅に戻ろう。ここまでは市街地側、西側しか歩いていない。駅ビルの中を抜け、東口にも足を運んでおかねばならぬ。

 

 宇都宮駅在来線のホームの東側には、いくつもの留置線が並んでいる。いわゆる宇都宮を終点とする列車は、この宇都宮駅の脇にある留置線で次の出番を待つというあんばいだ。ナゾの終着駅には車両基地もセットになるが、ナゾではなく県都の終着駅にもプチ車両基地のようなものがあった。

 

 そして1970年代までは、この東側の一帯に貨物駅も広がっていた。貨物駅は1971年に移転し、その後も徐々に規模を縮小していったが、そうした施設があったがゆえに新幹線は市街地側と在来線ホームのわずかな隙間にねじ込むように線路をとおすことになったのだろう。新在逆転のナゾの答えは、きっとこの程度のものなのだろうと思う。

ADVERTISEMENT

 まだ貨物駅があったころの東側は、線路を跨いで渡る自由通路があったわけでもなく、空き地が大半、ほとんどが田園地帯であった。本格的に市街地化が進んだのは1980年に現在の駅舎とともに東西の自由通路が完成し、1982年に新幹線が乗り入れてからのことだ。

 さらに遠く鬼怒川の東側には宇都宮テクノポリスの中核たる工業団地が進出。他の地域でもそうであったように、人口が増えて市街地が拡大していくと、それまでは“駅の裏側”だった一帯も急速に市街地化していったのである。