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北関東ナゾの“県庁所在地の駅”「宇都宮」には何がある? 餃子の街の“新幹線がどうしてココを通っているのか問題”

2021/08/16

genre : ライフ, 歴史, , 社会

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餃子の香りのしない東口…どうして?

 宇都宮駅の東側にあった貨物駅や留置線は移転や規模の縮小で今のかたちになり、2008年には東口の広場も完成した。いつだったか、仕事で宇都宮を訪れた際に餃子を食べようと、東口の駅前にあった餃子広場に行った記憶がある。宇都宮みんみんや宇都宮餃子館の店舗が並び、大谷石の石像(観音様からドラえもん、ピカチュウまで……)が点々置かれていたように覚えている。市街地を歩くまでもなく、駅のすぐ近くで餃子が食べられるとはありがたいと思ったものだ。

 だが、改めて今回宇都宮駅東口を訪れてみると、餃子の香りはまったくしなかった。広場はすっかり様変わり、というか工事現場になっていた。あの餃子店たちは姿を消して工事現場の仮囲いの向こう側。高いクレーンもあるほどで、宇都宮駅の東口は目下大工事のさなかであった。

 

 この宇都宮駅東口の工事は、宇都宮ライトレール(つまりわかりやすくいえば路面電車だ)に関係する。宇都宮ライトレールは宇都宮駅東口からテクノポリス方面までを結ぶ予定で、工事中の東口ではその停留場を含めた再開発が進められているというわけだ。

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 工事が終わったときに、餃子店がまた東口の駅前に戻ってくるかどうかはよくわからない。だが、ライトレールという新しい交通機関が誕生することで、これまで長らく西側が中心だった宇都宮の発展は、東側へと大きく舵を切ることになるのかもしれない。工業団地へ直接向かうライトレールが開通すれば交通渋滞が解消されて、途中の停留場付近の開発もますます促進される。簡単に言えば、もっと便利になる。

 真新しくて清新で便利な新・宇都宮の東口と、歴史をとどめる西口と。その両輪が、新たな宇都宮を作っていくのだろう。そしてそのときにも、宇都宮駅が中心にあり続けるのである。

写真=鼠入昌史

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