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「逆境は“性交”(成功)の母」
ベッドの上でのご婦人はマグロでした。「売りモノ、買いモノ」の考えの持ち主でサービス精神のカケラもお持ちではありませんでした。必死になってご婦人の足の付け根に喰らい付くと、お手入れ不足のせいのヨーグルトのような粘膜液がタレ流れています。
しかし、ここで舌使いを止めれば、手形の書き換えはままならず、会社が倒産することは目に見えていました。サービス精神を喪失したご婦人は、ただベッドの上で肉の塊となり、トドのように気ままに吠えるのみです。
ベッドの枕元に手形が入っているであろう小さな金庫が見えています。あの時ほどに全身全霊をかけSEXに立ち向かったことはなかった気がします。北陸一の腰を振ったように思うのです。
帰りの汽車の窓から日本海を眺めていると、涙がとめどなく流れて仕方がありませんでした。
そんな「北陸への旅」が月に一度、4カ月ほど続きました。
こんな辛い思いをするのなら、手形を不渡りにしても構わない、と何度自暴自棄になったかしれません。しかし、その「死ぬような思い」がエネルギーの源泉となり、ほどなくしてご婦人に返済を果たすことができました。
まさしく「逆境は“性交”(成功)の母」となった、思い出でございます。