1ページ目から読む
3/4ページ目

もっとどうしようもないのが、ここにいるよ

 まだ黒電話が主流の頃でした。衣食住をスタッフと共にし、事務所で夜遅くまで仕事をしていました。すると深夜に電話がかかってきて、とると受話器の向こうから「アァッ、アア」と女性の悶える声が聞こえてきます。

 こうした淫女のアプローチは頻繁でしたので驚くこともなく、「どうしたの、欲しいの?」と優しい言葉をかけました。すると電話の向こうの姫は、「あ~ん、あ~ん」と一段と高い嬌声を上げ興奮するのです。こちらの声を聞きながら自慰行為に耽溺しているのは明らかでした。中には悶え声で飽き足らず、「太いんでしょ?」「黒いのかしら」「鉄みたいにカタいの?」といった質問攻勢をかけてくる姫君などもいました。

「当たり前だよ、君の手首くらいに太いんだよ」「黒いよ、石炭みたいに真っ黒だよ」「カタすぎてきっとあなたの体の中で暴れたら、ポッカリ穴のあいた気分になってしまうよ」と先様が歓喜するであろう応接の言葉を添えて応じることも度々でした。

ADVERTISEMENT

 

 こうした欲しがり屋さんの中には、電話だけではなく、直接夜の事務所に訪ねてくる「道場破り感覚」の姫君などもおりました。AVに出演したい、という建前とは別に、本心ではこの機会に「AVの帝王」とやらのスティックを毒味したいとの冒険心に駆られているのでした。

 会ったら当然の如く面接という名のもとで「味見大会」が開かれるものと、勝手に想像を巡らされているのです。

「時の政権与党の幹事長の女なのよ」

 こうしたアドベンチャーの姫君を相手に深夜の「濃厚接触面接」を行い、中に格別のスグレモノの女性にAVにご出演いただいたことも少なくありません。

 ある日の午前2時の丑三つ時でした。30代後半の女性の、これまた突然の訪問を受けました。化粧は少し濃いめでしたが、身につけている洋服や装飾品は一流ブランドのもので、立ち居振る舞いはセレブ女性のソレでした。女優の三田佳子さまによく似た彼女がおもむろに口を開いて「私は何を隠そう、時の政権与党の幹事長の女なのよ」と衝撃の告白をなさったのです。「幹事長ばかりじゃないのよ、総裁とだって一緒に3Pをしたことがあるの」といい募るのでした。

 こうした女性には何をいってもはじまらないことは経験でわかっていました。そこで、「どんなことをシたいの?」と尋ねると「3Pを思う存分楽しみたい、幹事長と総裁の時は中途半端だったから」と宣われたのです。そこでスタッフ2人と3Pを楽しんでいただき、お引き取りいただきました。ケモノのようなヨガリ声を上げ、彼女は最後は失神しました。

 それから1カ月ほど経った頃でした。彼女が銀座で「代議士の妻」を騙り、無銭飲食を重ねた挙句、逮捕されたことをテレビのニュースで知ったのは……。