「抜けた理由なんですけど、ちょっと変わった理由でして……。簡潔に言うとですね、事務所の代表、社長さんですね。社長さんが代わりました。変な感じで代わったんですよね。しかも、急に代わったんですよ。(中略)前の社長さんが好きで事務所にいたので、居る意味がないかなということで辞めました」

 6月上旬、人気YouTuber「きまぐれクック」のかねこが動画でこう語った。「きまぐれクック」は巨大魚や高級魚などを見事な手腕でさばいていく人気チャンネルで、登録者数は440万人を超える。いつもは軽妙な語り口や楽し気な雰囲気だが、この日の彼は神妙な面持ちだった。

きまぐれクック(本人のYouTubeチャンネルより)

人気YouTuberたちが同時期に“退所宣言動画”

 きまぐれクックのかねこがこの動画で報告したのは、自身が所属する事務所「Kiii」からの退所だ。彼と時期を同じくして、「ブライアンチャンネル」(チャンネル登録者数276万人)、「チャンネルがーどまん」(チャンネル登録者数185万人)、「MAKIHIKA」(チャンネル登録者数48万人)、「今日もGatti」(チャンネル登録者数30万人)など、Kiiiに所属する人気YouTuber17人が6月初旬に“退所宣言動画”を公開している。

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 人気YouTuberの退所宣言は話題を呼び、複数のメディアが報じる騒ぎとなった。スポーツ紙記者が語る。

「彼らの退所理由がKiiiの“内紛”だったことも注目を集めました。事の発端は3月22日、臨時株主総会で当時社長だった高田樹氏が即日解任されたことでした。高田氏の解任理由は、Kiiiとは別に高田氏が始めた人材紹介業や広告代理業務が、Kiiiの筆頭株主である今井貴則氏が経営する関連会社のビジネスと競合することが分かったから。高田氏の行為が利益相反行為であると糾弾され、Kiiiから離れざるを得なくなったんです」

きまぐれクック(本人のYouTubeチャンネルより)

 この高田氏というのが、冒頭の気まぐれクックのコメントにある「前の社長さん」だ。

「YouTuberらは高田氏に付随する形で退所を表明。とはいえKiiiからするとこれだけ人気があるYouTuberを一斉に失うことになるわけですから、認めるわけにはいかない。だからKiiiはまだYouTuberらとの契約は切れていないと主張しているんです。Kiiiと35名のYouTuberは真っ向から対立しています」(同前)

「Kiii最後の砦」ラファエルの選択は……

 そんななか、YouTuberファンから「Kiii最後の砦」と言われているのがラファエルだ。2014年からYouTuberとして活動をはじめ人気を博し、「無一文からのドリーム」(宝島社)などの著作も上梓。YouTubeのコンサルティングや、投資家としても活動している“別格YouTuber”だ。ラファエルはKiiiに所属しているが、Kiiiの株を33.3%持っている株主でもある。

ラファエルの著作「無一文からのドリーム」(宝島社)

 しかしこのラファエルも、実はKiiiに“離縁状”を送っているのだという。