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年間収益は23億円以上、「四天王」と呼ばれるトップアイドルへ

 日本で第2次韓流ブームを起こしたと言われるK-POPスター、東方神起との契約トラブルは2009年、5人のメンバーのうち3人がSM社の契約条件を不服として「専属契約効力停止仮処分申請」をソウル中央地裁に提出して始まった。

 結局、ソウル地裁は、メンバー3人の訴えを認め、これは “奴隷契約”へ一石を投じることになった。このトラブル以降、SM社を含め韓国の音楽事務所は公正取引委員会が指定する標準契約期間7年を使用している。 

 クリスは2016年、SM社と和解したが、グループからは脱退。SM社とは当初の契約通り2022年まで契約を結ぶ代わりに同社にマネジメントの権限を委託する形で韓国と日本を除く活動が許され、売り上げは分配することで合意していた。クリスは同年、中国に個人事務所を設立し、中国と米国で活動を続けてきた。

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雑誌の表紙を飾る元EXOのクリス©AFLO

 中国では四天王といわれるトップアイドルスターの1人とされる。17年には年間の収益が1億3680万元(約23億1200万円)と報じられ、これまで数々の有名ブランド企業のアンバサダーも務めていた。 

K-POP界最大のスキャンダル、BIGBANGメンバーにも判決

 クリスの逮捕の報が流れる数日前の8月12日、K-POPスター「BIGBANG」の元メンバー、V.Iに懲役3年と11億5690万ウォン(約1億800万円)の追徴金を科す一審判決が出ており、韓国の芸能関係者の間には「重たい雰囲気が漂った」(前出記者)という。 

 係争中だったのは、2019年年明けに発覚した、K-POP界最大のスキャンダルといわれる「バーニングサン事件」による裁判。性売買斡旋や違法賭博などの8つの嫌疑により、2019年6月、V.Iは検察に送致され、2020年1月から二十数回に及ぶ裁判が続いていた(その後特殊暴行の嫌疑が加わり、嫌疑は9つになった)。裁判が始まった2カ月後の20年3月には徴兵制により北朝鮮との国境に近い前線に位置する陸軍に入隊し、裁判は普通軍事裁判所(地方裁判所に当たる)に移管されていた。 

BIGBANGのV.I(スンリ) ©Getty Images

 一審判決では性売買斡旋のほとんどで有罪となった。決め手として挙げられたのは2つのケースで、ひとつは台湾からの顧客に対して、もうひとつは日本人事業家A氏への斡旋とされた。    

 台湾からの顧客のケースでは、2015年12月、当時 V.I と共に会社を経営していたユ代表などとのグループチャッティングに「女の子は(性的に)軽い子を送れ」「女の子は用意するからふたり(の女の子)が来たらホテルの部屋に案内して」などのメッセージを V.I が書き込んでいたこと、性売買代金として4280万ウォン(約400万円)が支払われていたことなどがあげられた。

 V.I側は書き込んだメッセージは「単なる打ち間違い」「iPhoneが自動的に打ち込んだ」などとしていたが、「一貫性もなく、信憑性にも欠ける」として、認められなかった。