本作は戸田さんと永野さんのダブル主演ですが、永野さん演じる新米警察官の視点で物語が描かれることが多く、そんな彼女の成長物語という側面も強いため、こちらでも先輩役の戸田さんの“引き立て力”がものを言っているように感じられてなりません。
戸田の演技はその現場の空気感を支配するレベルか
YouTubeの「日テレドラマ公式チャンネル」が公開している『ハコヅメ』キャストのコメント動画などを見ると、戸田さん、永野さん、ムロツヨシさんといった出演者同士がとても仲睦まじく、非常に雰囲気のいい撮影現場であることがわかります。
また戸田さんと永野さんが、第1話放送日に番宣で情報番組『バゲット』(日本テレビ系)に出演した際、戸田さんが永野さんのことをこう評していたのです。
「とにかくかわいいんですよぉ。犬で例えるとチワワみたいな感じなんです。キラッキラして、尻尾がまるで見えるかのように表情豊かなので、すごいキュンキュンするんですよね」
永野さんの立場からすると、10歳以上年上の先輩女優とのダブル主演ともなれば、先輩側の態度がちょっとでもピリついていれば演じにくくなってしまいそうなもの。ですが戸田さんのこういった柔和な表情を前にすれば、永野さんは伸び伸びと演じられるでしょう。
公私ともに充実している“最新版・戸田恵梨香”
今の戸田さんは撮影中の演技にも撮影外の素の一面にも、余裕が漂っているように見えます。数々のドラマや映画で主演し、なかでも朝ドラ『スカーレット』の現場で半年間座長として引っ張ったという経験が、圧倒的な自信につながったのかもしれません。
以前は類まれな高い役者能力を自身の演技に集中させていたところを、現在はそれを共演者を活かすことにも使い、輝かせているといった印象を受けるんです。かといって、戸田さんが演じる役が影にまわっているわけではなく、彼女の演じるキャラクターもきちんと魅力的に“立って”いる。
貫禄や存在感で言えばもはや年配の大御所女優級の佇まい。戸田さんの演技がその現場の空気を支配しているとも思えるレベルなのです。
朝ドラ主演を含むこれまでの経験・実績を引っ提げ、プライベートでは結婚という幸せを手に入れて公私ともに充実している“最新版・戸田恵梨香”。そんなアップデートされた彼女がひとつ上のステージに到達して得たのが、隣に並ぶ人物を光らせる“引き立て力”だったのではないでしょうか。今の彼女はもはや無双状態と言えるかもしれません。