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お酒がトリガーになっていた

斉藤 盗撮した大量の写真は、自己使用(マスターベーション)していましたか?

H はい。家では家族がいてできないので、通勤中に喫茶店のトイレに入ってしていました。思い返せば、盗撮を始めてからも盗撮モノのアダルトコンテンツでマスターベーションすることはよくありましたね。特に出張に行ったときは、写真週刊誌の女性アナウンサーや女性アスリートのパンチラショットなどを見て興奮することがありました。また、ビジネスホテルには有料のペイチャンネルでアダルトビデオを見られるところが多いので、そこで盗撮モノを見ていましたね。

斉藤 Hさんはどんなときに盗撮したくなっていましたか?

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H 自分が性的に惹かれる女性が現れたときや、お酒を飲んで気が大きくなったときです。

斉藤 お酒がトリガー(引き金)になっていたんですね。

H 今は、外では絶対、お酒を飲まないようにして、夜、自宅で飲む程度にしています。

 それと、以前は仕事でイライラすることがあったときやヒマなときも盗撮したくなっていました。特に、ぽっかり空いた時間が一番危ないんですよね。日曜はヒマで時間を持て余していたので、お酒を飲んで気分を高揚させてから電車に乗って、下着の見えそうな女性の前に座るという行動を繰り返していました。今はクリニックでスケジュール管理表をつけて、ヒマな時間がないようにタイムマネジメントしています。

「お前、今撮っていただろ」と腕をつかまれて

斉藤 Hさんは盗撮が見つかって逮捕され、当クリニックにつながりましたよね。見つかったときの状況を詳しく教えてください。

H いつものように電車内で盗撮をしていたところ、ほかの男性客に「お前、今撮っていただろ」と腕をつかまれたんです。最初は「していない」と否定しましたが、スマホを取り上げられて画像を確認され、駅員室に連れていかれました。そこから警察で事情聴取され、逮捕されました。もう俺、人生終わったな、と一度は絶望しました。

斉藤 その後はどんな流れをたどったんですか?

H 結局、そのときは厳重注意だけで勾留はされずに帰されました。被害者の女性は被害届を出していたようですが、処分保留、自宅待機といったかたちでした。最終的には起訴されず、弁護士を経由して示談金70万円を支払うことで終わりました。ただ、聞くところによると被害に遭った女性は「絶対に示談なんかしない」と言っていたのを、弁護士さんが示談で交渉してくれたようです。70万円というのは盗撮の示談金としては高額だとか。

斉藤 逮捕されて盗撮行為が発覚したとき、ご家族の反応はどうでしたか?

H 妻はもちろん怒り狂っていました。一報を聞いて自分ひとりでは抱えきれなかったのか、私の会社の上司に連絡をして、一緒に警察署まで迎えにきてくれました。娘が2人いるのですが、このことは彼女たちには今も知らせていません。会社は3か月休職した後、人事委員会にかけられたのですが、「長年お世話になった会社なので続けたい」旨を伝えたところ奇跡的に復職できました。この事件は上層部にしか知らされず、同期には知られていません。