念願のマンションを購入して住みはじめると隣人とのトラブルに悩まされたり、騒音などにより生活に支障をきたしたり、予期せぬ問題が発生することがある。
自営業の山田一郎さん(50代=仮名)の場合は、耐えきれないほどの「悪臭」に襲われたことだった。
異臭、害虫発生で原因不明の体調不良に…
山田さんは住環境の良さと眺望に惹かれ、2016年に千葉県浦安市の住宅街に新築された10数階建ての大型マンションを選び、事業を兼ねて最上階の角部屋とその隣室を購入した。
山田さんが振り返る。
「住みはじめてすぐに、バルコニーに出た時に異臭を感じるようになり、窓を開けると異臭が部屋に入ってくるようになりました。臭いは次第にきつくなり、洗濯物をバルコニーに干せなくなって、窓を開けて換気することもできなくなったのです」
悪臭だけではなかった。
住みはじめて1年過ぎる間に、数百匹の羽アリが大量発生し、強烈な臭いを発するカメムシが出て、部屋の屋上には尋常でない数のカラスが飛来した。新築の上層階にもかかわらずゴキブリが出るようになり、山田さん自身は原因不明の吐き気やめまいを起こして通院をはじめた。
購入1年後、悪臭の原因は「ディスポーザー」(生ゴミ処理機)であることが判明した。
原因は生ごみを処理する「あれ」
このマンションには各部屋の台所下部にディスポーザーが設置されている。生ごみを流すとディスポーザーが粉砕し、排水管を下って地下の処理槽へ送られ、バクテリア等で分解されて下水道に流されたり、バキューム車で処理されたりする仕組みだ。
問題は、処理槽で処理される間に強烈な悪臭が発生すること。放置すれば悪臭が地上に漏れ出てしまうため、このマンションでは直径15センチ程度の臭突管を設置し、マンションの屋上まで持ち上げて悪臭を放つ仕組みになっていた。
普段、マンションは屋上に上がれるようにはなっておらず、山田さんが初めて屋上に上がったのはマンション管理組合による1年検査の時だった。