原告側弁護士「屋上の(臭突管の)出口からそういった臭いが出て困るとか、そういったところはあなたとしてはご認識がなかったと」
社員「私の中ではそうですね、そういう認識は、会社としてもそういう関係もなかったので認識もないです」
原告側弁護士「臭いが例えば居住できないほどくさい臭いなのかどうなのかとかですね、そういう程度についてまでは、あなたは御存じないということですか」
社員「そういうことです」
専門業者2社による臭気検査の結果
被告の主張は第2に、悪臭は「受忍限度を超えるような深刻なものではない」というものだった。
悪臭の程度については裁判長に促されたこともあり、山田さんは多額の費用をかけて専門業者2社に臭気検査を依頼した。
1社は「臭気判定士」が現場に来て鼻で確認し、「風の弱い日などは屋上に滞留したものが塊のように流れてくることが想像でき、そういった場合はあまり希釈されずに臭気が流れてくるため、室内でも十分な臭気を確認できることが想定される」と報告した。
もう1社は臭気濃度を分析した。
その結果、臭突管排出口の臭気濃度は、千葉県の悪臭防止対策の指針値(500)を10倍超過した5000であることがわかった。また、日本建築学会が提案している高齢者施設の臭気濃度と比較し、その推奨値8に対し、角部屋は16、隣室は13と大きく超過した。
悪臭は居住者に我慢を強いるかのような判断
今年4月13日午後1時半。東京地裁507号法廷で言い渡された判決は「原告の請求を棄却する」という一言で終わった。山田さんは唖然として言葉が出なかったという。
判決は、重要事項説明については「被告側が本件臭突管排出口や臭気について説明を欠いたとはいえず」と判断した。
そして悪臭については、居住者に我慢を強いるかのような判断だったのである。
悪臭に対する判断の問題は、ディスポーザー等による悪臭が部屋に及ぶことについて公的な規制が設けられていないことだった。
山田さん側が2社に臭気検査を依頼したところ、日本建築学会の推奨値を大きく超過した数値が出たのは前述した通りだ。
しかし裁判長が取り上げたのは、悪臭防止法にかかる浦安市の条例だった。