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2021/08/26

過去のディスポーザー問題にまつわる裁判では…

 実際、ディスポーザーによる悪臭を原因として契約解除や損害賠償を求めた裁判は、これまでに1件しかないと見られる。

 大阪市の男性会社員が16年に提訴したこの裁判は、山田さんと同様にマンション最上階の角部屋を購入して住みはじめると、部屋の真上に当たる屋上に設置された臭突管から出る悪臭により、家族の体調が悪化して住めなくなったものだった。

 しかし裁判資料によれば、この裁判は和解して判決には至らなかった。このマンションでは他の部屋にも影響せずに臭突管の排出口を移せる場所があり、管理会社の負担で排出口を移設したのだ。

 実は山田さんも、被告の子会社である管理会社に臭突管の移設を求めたが、他の部屋に影響せずに移せる場所はなく、「できない」という回答だった。

 そのため、山田さんの裁判における一審判決はディスポーザーの悪臭をめぐるほぼ初めての司法判断となった。その判決は、マンションを販売する際は「臭気等が発生する場合がある」程度の説明でよく、そして悪臭については住人に高い受忍限度を求めるものだったのだ。

人気マンション最上階の2部屋が無人に

 提訴して判決が出るまでに約3年かかったため、山田さんは耐えきれなくなって19年11月に引っ越した。完売した人気の大型マンションで最上階の2部屋が無人という状況が続いている。

山田さんの部屋の上を舞うカラスたち(山田さん提供)

「私が購入した時は多くの部屋が空いていたのに、よりによって最悪の部屋を選んでしまった。真上に臭突管の排出口があり、こんな悪臭が出ると分かっていれば絶対に買いませんでした。売りに出すしかありませんが、悪臭で住めなくなった部屋を誰が買ってくれるというのでしょうか」(山田さん)

 ただし、一審で「我慢しろ」という判決が出た以上、悪臭について説明せずに売り出すことができるという皮肉な解釈もできる。

 山田さんは控訴し、現在は東京高裁で審理が続いている。控訴審判決は9月16日に出る予定だ。

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