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「交通事故並みの大けが」落下した生徒を放置して…学校側の説明は二転三転

埼玉県立草加かがやき特別支援学校の対応をめぐり母親が不信感を抱く理由

2021/08/30

genre : 社会, 教育

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事故から1ヶ月後に報告を受けた県教委

 県教委特別支援教育課によると、県教委への第一報は20年12月7日。学校事故の窓口である県立学校人事課に、学校から骨折のこと、そして治療費の請求を含めて報告があったという。この段階では事故から1ヶ月が過ぎていたが、県教委は事故のことを知らなかった。

 そのときの学校側の説明は「腕の間をすり抜けて落ちてしまった」など、母親への2回目の説明と同じで、12月18日には、特別支援教育課の主幹に連絡が入る。12月22日、「児童生徒事故報告書」が県立学校人事課に提出される。翌日、特別支援教育課の主任指導主事に連絡が入ったという。

©️渋井哲也

 県教委は、救急車を呼ばなかったことについて、こう述べる。

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「何日か前に救急車を呼ぶことがあったようで、救急車を呼んでも搬送先がなかなか決まらないこともあります。当時の、保護者とのやりとりの詳細は不明ですが、希望していたのに、学校が救急搬送をしていないとは、聞いていません」(特別支援教育課長)

 調査が遅れたことについては、

「偶発的な事故であり、学校と保護者が揉める事案とは思っていませんでした。校長からの聞き取りはしていますが、疑義につながるような話は出てきていませんでした。レントゲン写真を見ましたが、通常の骨折とは思わなかったものの、特にそれ以上、調べていません。反省をしているところはあります」(同前)

 としている。

治療後の生徒。完治が難しい ©️渋井哲也

事故から4ヶ月が過ぎ、担任から聞き取り

 母親は、学校側に事実関係の確認を再三した。そのため、学校長は、事故から3ヶ月半が過ぎた21年3月26日、担任から聞き取りを行った。事故が起きたのは、「事故報告書」の通りの3ヶ所。廊下には誰も他にはいなかった。そのときの生徒の様子について、「いつもより立つのを嫌がっていた。足の変化にも気がつかなかった」。

 他の教員へのアンケート調査では、

「『バーン』と音がしたそのときにケガをしたのかもしれません。もう一度見ると、生徒は座っていました。倒れた時は見ていません」

 など、何らかの異変に気がついた教員がいても、事故を目撃していない。ただ、このアンケート調査では、養護教諭は対象になっておらず、保健室での様子が明確ではない。