文春オンライン

「交通事故並みの大けが」落下した生徒を放置して…学校側の説明は二転三転

埼玉県立草加かがやき特別支援学校の対応をめぐり母親が不信感を抱く理由

2021/08/30

genre : 社会, 教育

note

説明が「腕の間をすり抜けて落ちてしまった」に変わった

 半月後の11月26日、校長と主事、担任が家庭を訪問して謝罪した。しかし、その際の説明は、当初の「階段から落ちた」ではないという。

「生徒が座り込んでしまったため、立ちあがらせようと抱えたところ、腕の間をすり抜けて落ちてしまった」(学校側の説明)

 しかし、その説明に主治医が疑問を持ち、母親が学校に再度説明を求めた。すると、12月末、校長と主事が家庭訪問し、また説明を変更した。

ADVERTISEMENT

「実は、3回、すり抜けて落ちてしまった」(同)

当初、事故報告書は「ない」と言われて

 母親は「事故報告書」を求めたが、校長からは「ない」との返答があった。しかし、21年2月、校長は「担任が使用していたパソコンの中に事故報告書があった」と話した。通常は「事故報告書」は校長が作成し、県教委に報告するものだが、それまで「事故報告書」が作成されていないことになる。

 担任は2回、母親に説明をした後に、休職。3月には任期満了で退職したという。保護者が校長から入手した「事故報告書」は修正版を含め、2種類ある。当初の報告書の作成日はないが、修正版には「令和3年4月1日」と記されている。どちらも、「どこで」のところが「昇降口左側の廊下~階段の間」、「なにをしているとき」には「登校が嫌で暴れていた本人を持ち上げようとしているとき」となっており、この部分は同じだ。

 しかし、「どのようなことが起きたのか」については、当初「床に寝そべっている本人を持ち上げようとお腹を抱えて立ち上がったとき、本人が脱力し腕から抜け落ちた。着地した左足のつき方が悪かったことと全体重が乗ったことにより、すねあたりを骨折する」とある。修正版では、「…本人が脱力し腕から抜け落ちた」までは一緒だが、「この一連の動きを(1)下駄箱付近、(2)木工室前付近、(3)中2教室付近で行った。この(1)、(2)、(3)のどこで骨折したかはわからないが、教員は骨折に気づいていない」が加わっていた。