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調査委員会の設置へ

 こうした対応について、母親は不信感を持ったため、NPO法人「プロテクトチルドレン」(森田志歩代表)を通じ、調査委員会の設置を要望する。21年6月25日、県教委は調査委員会の設置を決めた。設置要項を作成し、(1)本件事故の経過、(2)事故原因の考察、(3)事故の再発防止――などを調査、審議する。委員は、委員長の久能由莉子弁護士ほか、医師と有識者の3人。

 8月19日の会見にて、森田代表が母親のコメントを発表した。

「学校より息子の事故による連絡が入って以来、幾度となく事故の原因やそのときの怪我への対応など、学校や県教育委員会へ質問を繰り返し、原因究明に、親として努めて参りました。事故の原因、担任の事故の状況報告の虚偽が判明しました。また、学校の調査方法、学校保護者への説明会などに不信を抱きました。私のこの行動によって安全であるべき学校での事故がなくなることを切に願っています」

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学校事故における補償も費用の一部でしかなく…

 また、調査とは別に、学校事故における補償の問題もある。母親によると、事故によって、手術、入院、通院、自宅での介護などに費用がかかっている。通常、学校での怪我には、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」の見舞金が給付される。その見舞金は、文部科学省が省令で定める14の障害等級に応じて金額が決まる。すでに障害がある場合は、生徒の同一部位については、等級が重くなった分だけ支給する、となっている。そのため、全額は給付されない。

「見舞金は給付されていますが、これまでにかかった費用の一部でしかない。母親は、差額分を補償してほしいと思っています。ただし、補償するとなると、県費での負担になります。県教委の話では、類似のケースで、他県では補償の前例がないというのです。そのため、交渉中です」(森田代表)