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「若い子には小説が本屋で売っていると分かっていない人もいるけど…」 動画クリエイターけんごさんが、小説紹介を“ビジネス”にしない理由

けんご@小説紹介さんインタビュー#2

 小説紹介を始めてから、ありがたいことにたくさんの本を出版社さんからご献本いただくようになったのですが、献本していただく小説すべてが「僕にとって」面白いわけではないので、僕が面白いと思うかどうかはブレないようにしています。100ページくらいで入り込めない作品はだいたい読むのをやめることが多いです。作家さんの文章の好みもあると思いますし、たとえ「名作」や「話題作」といわれている作品でも、僕が面白いと思えなければ紹介しません。

 

 あとは、僕がその作家さんの文章が好きすぎて、その作家さんの作品全部を紹介したくなるケースもあります。もうご本人にもバレているので公開しちゃいますが、綾崎隼さんの文章は僕にとってたまらなく魅力的です。すごく知的で難しい言葉もあったりするんですが、入り込みやすくて面白く、まるで国語の勉強をしているかのような気になれるところもいいんですよ。『蒼空時雨』、『命の後で咲いた花』、『死にたがりの君に贈る物語』はどれも熱量高く紹介させていただきました。

気になる本の選び方

──本はどこで入手されていますか。本を選ぶ時の基準もあれば教えてください。

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けんご コロナ前は時間があればよく書店に行って1~2時間ブラブラと本を見て選んでいました。書店で話題になっている本や、なんとなく目についた本を手に取って、タイトルとあらすじを見て気になった本を購入することもあれば、ネットで「おすすめの恋愛小説」とかをチェックして、興味を持った本をアマゾンで買うこともあります。

 カバーデザインに惹かれて購入することはほとんどないんですが、綾辻行人さんの『殺人鬼』はジャケ買いしました(笑)。純文学も紹介しているんですけど、僕が「大衆文学脳」なので、若干純文学が苦手なんです。よほど気になったら読むという感じで、基本的には「直木賞」「本屋大賞」「このミステリーがすごい!」の受賞作品などはこまめにチェックして読むように意識しています。

 

 最近は佐藤究さんの『テスカトリポカ』や澤田瞳子さんの『星落ちて、なお』の直木賞受賞2作品が気になっていて、読みたいと思っています。道尾秀介さんの新作『雷神』も読みたいし、読みたい本がありすぎですね。

──けんごさんは文庫より単行本派なんですよね。本の置き場所はどうされているんですか?

けんご どうやら僕、紙の本じゃないと読めない病気にかかったらしく、紙の本しか読めないので、今、自宅にどんどん本がたまっているんです。ネット記事や漫画は電子でも平気なんですが、小説は紙じゃないと読めないんですよ……。

 いずれ本の置き場がなくなる日が来るかもしれませんが、本に囲まれているのは楽しいので、あまり考えないようにしています。