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卑猥なうちなーぐち

 沖縄の暴走族やヤンキーの調査を始めて間もない頃、複数の暴走族や追走する少年たちを追いかけていると、ある集団が休憩のためにコンビニ前に止まった。思い切って私は、20歳前後の5人組に声をかけてみた。

――東京から取材に来たんですけど、少し話聞かせてもらえないですか?

少年 『チャンプロード』(暴走族専門雑誌)?

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――『チャンプロード』ではなくて、学生なんだけど、ダメですか?

少年 なんだ。何の話聞くの?

――仕事の話とか、将来のこととか、教えてほしいんですが。もしよかったら、グループに入れてもらえんですか。

 暴走族雑誌の記者ではなくて、内地から来た「学生(大学院生)」であることを伝えると、彼らのテンションは下がったようだった。

少年 お兄さん、内地の人?

――うん、東京から来たけど、生まれは広島です。

少年 だったら、まずは方言覚えんと。

――おー、教えてよ。

少年 「わんねー、ほーみーしーぶさっさー」ってわかる?

――なんて意味?

少年 「沖縄の人は良い人で、幸せをありがとう」って意味だから、女の人に会ったら使ってよ。

――おおー、いいねえー。教えてくれて、ありがとう。

 話が弾んでいるように思われるかもしれないが、実際はぎこちないやり取りだった。少ししてから5人組の1人が、「さっきの方言は「エッチなことをしよう」って意味だから、使っちゃだめだよ」と教えてくれた。この5人組からは、「ホーミー[女性器]」とか「しかす[ナンパする]」といったうちなーぐち[沖縄方言]を教わった。(#2に続く)

ヤンキーと地元 (単行本)

打越 正行

筑摩書房

2019年3月23日 発売