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“1点差の完敗”を観て考えた。今のファイターズに何が足りないのだろうか

文春野球コラム ペナントレース2021

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ファイターズの野球をもう一度、プロの誇りあるものにしたい

 さて、同じ西川の打席。8回表、スコアは1対2。ロッテのマウンドには(ロメロに代わって)セットアッパーの国吉がいる。先頭の西川がライトにヒットを放った。無死走者1塁、しかも俊足の西川。打順は3番野村、4番近藤健介とクリンアップにまわる。何でもできる。最高のシチュエーションだ。もちろん僕はベンチの考え方、打者の意図を想像しながら見る。

 それが……、野村をただ打たせた。カットボールを続けられ、3ゴロゲッツー。僕は野村の意図は(たぶん)「強く打ち抜く」だったかなと思う。進塁打の意識はなかった。ベンチも野村に適時打を期待した。言い方を変えると「ただ打たせた」になる。

 1点ビハインドの終盤、ロッテのリリーフ陣の厚みを考えたら右打ちはもちろん、バントでも良かったくらいじゃないか。「野村に伸び伸びやらせて大打者に育てる」という発想なのか。僕は凡退するのであっても(たとえ結果が同じゲッツーでも)きびしく勝負にこだわるチーム戦術、打者の意図が見たかった。もし、それがあれば10回のうち7回の失敗になったって構わないのだ。

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 1点差ゲームでも面白くなかった、それが問題だと言ったのはそこのところだ。走者が出ても、ただ打たせて、ヒットが出ればバンザイ、ダメなら残念でした。そんな淡白な野球をやっていてもチームに勝利への執念は身につかない。消化試合になってしまう。見てるこちらにプロ野球のコクが伝わらない。

 ぜんぜん足りないなぁと思ったのだ。1回から9回までそんな試合だった。

 ファイターズの野球をもう一度、プロの誇りあるものにしたい。大丈夫、(ずっと前に)身体はマストにぐるぐる巻きにしてある。僕はどんなにファイターズがボロボロになっても絶対見捨てたりしない。今は最下位に沈み、ファン離れの危機に瀕しているけれど、必ず不死鳥のようによみがえると信じている。

 この球団には伝統があり、チームには野球人がいる。前述の渡辺浩司2軍コーチは清宮幸太郎をつきっきりで見ている。1軍では飯山裕志コーチが野村佑希の守備を鍛えている。がんばろう、強くなるためにひたむきに努力しようファイターズ。その第一歩は今日からだよ。みんなが見ているよ。

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