「自分は正しい」「正しければ何をしてもいい」という思考回路
そして、「自分は正しい」という考えのもとにパートナーに対して「こうあるべき」「こうするべき」と自分のゆがんだ価値観や理想をさも正論のように伝え、従わせようとします。
それに対して、相手が賛同しなかったり、やらなかったりすると、「自分の『べき』に従わない相手の判断力や価値観は異常だ」と考え、相手を「矯正することが自分の使命」と考え、相手を「正そう」とします。
たとえば、相手が自分の決めた家庭のルールを守らなかったり、うっかりミスをするようなことがあると、
「いつもいっているのに、なんでできないんだ」
「バカじゃないの」
「ちょっと考えればわかるだろう」
「だからおまえはダメなんだ」
「生きている価値がない」
と怒鳴りつけます。それに対して被害者がちょっとでも反抗すれば、
「なにをいってるんだ」
「おまえはなにもわかっていない」
「間違っている」
このように悪しざまに非難したりします。
しかも、加害者は「自分は何も間違えていない」「自分は正しい」「正しければ何をしてもかまわない」という思考回路になりがちです。
「ダメな妻をなおしてやっている」という意識
「妻がいうことを聞かなければ多少の暴力は許される」と考える人は少なくありません。
ステップの加害者更生プログラムの初回面談でおこなう「意識チェック」でも「妻が夫のいうことを聞かなければ叩いてもかまわない」「必要であれば妻に暴力をふるうことは許されている」などの項目にチェックを入れる人はたくさんいます。
そうして、口でいっただけでは足りないと、相手にものを投げつけたり、叩いたり、土下座させたり、謝るまで何週間も口をきかないなどの行動に出て、自分の「べき」を強要しつづけます。
どれも完全にDV行為ですが、加害者は自分がDVをやっているなどとはつゆほども思っていません。むしろ、「相手のダメなところをなおしてあげている」と思っています。とくにDV加害者の多くは、妻のことを「教育してやろう」と思っていて、それが夫の務めだと思っています。妻に対して、
「おまえがダメだから、俺が教えてやっているんだ」
「おまえのためなんだ」
このように平気でいいます。自分でもそう信じているのです。
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