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「自分は正しい」「正しければ何をしてもいい」という思考回路

 そして、「自分は正しい」という考えのもとにパートナーに対して「こうあるべき」「こうするべき」と自分のゆがんだ価値観や理想をさも正論のように伝え、従わせようとします。

 それに対して、相手が賛同しなかったり、やらなかったりすると、「自分の『べき』に従わない相手の判断力や価値観は異常だ」と考え、相手を「矯正することが自分の使命」と考え、相手を「正そう」とします。

 たとえば、相手が自分の決めた家庭のルールを守らなかったり、うっかりミスをするようなことがあると、

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「いつもいっているのに、なんでできないんだ」

「バカじゃないの」

「ちょっと考えればわかるだろう」

「だからおまえはダメなんだ」

「生きている価値がない」

 と怒鳴りつけます。それに対して被害者がちょっとでも反抗すれば、

「なにをいってるんだ」

「おまえはなにもわかっていない」

「間違っている」

 このように悪しざまに非難したりします。

 しかも、加害者は「自分は何も間違えていない」「自分は正しい」「正しければ何をしてもかまわない」という思考回路になりがちです。

「ダメな妻をなおしてやっている」という意識

「妻がいうことを聞かなければ多少の暴力は許される」と考える人は少なくありません。

 ステップの加害者更生プログラムの初回面談でおこなう「意識チェック」でも「妻が夫のいうことを聞かなければ叩いてもかまわない」「必要であれば妻に暴力をふるうことは許されている」などの項目にチェックを入れる人はたくさんいます。

写真はイメージです ©iStock.com

 そうして、口でいっただけでは足りないと、相手にものを投げつけたり、叩いたり、土下座させたり、謝るまで何週間も口をきかないなどの行動に出て、自分の「べき」を強要しつづけます。

 どれも完全にDV行為ですが、加害者は自分がDVをやっているなどとはつゆほども思っていません。むしろ、「相手のダメなところをなおしてあげている」と思っています。とくにDV加害者の多くは、妻のことを「教育してやろう」と思っていて、それが夫の務めだと思っています。妻に対して、

「おまえがダメだから、俺が教えてやっているんだ」

「おまえのためなんだ」

 このように平気でいいます。自分でもそう信じているのです。

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DVはなおせる! ―加害者・被害者は変われる

栗原加代美

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