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《五輪銀メダル》女子バスケ・林咲希のスランプを脱出させた“シュートの大原則”「毎朝6時からシュート練習をして朝食を…」

東野智弥JBA技術委員長インタビュー#1

2021/09/07
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 準々決勝のベルギー戦で、残り15.2秒で3ポイントを決め1点差の大逆転勝利を導いたのは、スランプを脱出した林だった。あの瀬戸際の場面で林が決めなかったら、銀メダルもなかった。

ヘッドコーチが編み出した200近くのフォーメーション

 東野は、それまで感覚や思い込み、阿吽の呼吸などという、曖昧なままで伝えられてきた戦術をすべて解析し、映像、データ、文字化した。その好例が、トム・ホーバスヘッドコーチが編み出した200近くもあるというフォーメーションの種類だ。

トム・ホーバスヘッドコーチ ©️JMPA

 私は当初、女子バスケの試合を見ながら、攻守の切り返しの速さは練習の賜物としか考えていなかった。だが、あのスピードは実は200近いフォーメーションの中から、コート上の5人が共通認識として瞬時に選び取った動きと知り、驚いた。東野が言う。

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「いうならサインプレーですが、番号や隠語でポイントガードから指示が出ます。それを徹底させたヘッドコーチもすごいけど、遣り切った選手も素晴らしい。ヘッドコーチは本当に細かくて、ステップの踏み方から体の向きにまで、1㎝単位で注意し、そして同じ動作を繰り返し練習させていた。彼女たちが忍耐強いからできたことだと思います」

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