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有名無実化していた無意味なゾーニング

 OMEGAは「マーケティングパートナー公式プレイブック」の対象者であり、OBSはホストブロードキャスターとして、「ブロードキャスト公式プレイブック」、もしくは「ワークフォース公式プレイブック」の対象者になっている。では彼らはなぜ隔離期間を置かずに入国直後から現場に入ることができたのか。

 実はプレイブックには、毎日の検査結果報告や組織委員会による厳格な監督などを条件に隔離を免責される特例が記してある。

「たしかに競技の基幹を支える技術を持つ彼らなしでは競技自体が成り立ちません。しかし問題は、運営上不可欠な存在とはいえ、隔離期間を過ごしていない人間が、競技会場で自由に動き回ったとき、その人がスーパースプレッダーではないという保証はなく、周りに大きな不安を与えたということです」

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赤いシャツを着たOMEGAの関係者たち

 現場はかなり不安を感じていたというが、組織委職員として何かしらの注意や、運用の改善に声を上げられなかったのだろうか。

「バブルが崩壊している中でも、競技はどんどん進行していきますから彼らの行動を止めることはできません。ゾーニングを守るための改善は、現場の一担当者が何か言って実施されるものではないのです。仕組みを作った時点で失敗しており、現場での運用改善には限界があります。OBSはグレーのユニフォーム、OMEGAスタッフは赤い服だと各部署責任者が集まる全体ブリーフィングでアナウンスされるので、それをスタッフやボランティアに伝えていました」

競技会場内はプレイブックにもあるように、アスリートバブルのほか、関係者・ボランティアが出入りする各ゾーンに分かれている。全オリンピック関係者が常時携帯する「OIAC」(アクレディテーションカード)と呼ばれる身分証があり、身分証に付された色(赤・青・白)や番号(2,4,5,6)で入ることのできるゾーンが分けられていた。しかし、このゾーニングについてもほぼ有名無実化していた。

青色の帯が引かれたアクレディテーションカード

 アスリートバブルの中では当初、OBSスタッフ用ゾーンとボランティアの働くゾーンは離れて設定されていた。

「しかし、結果として、OBSのスタッフはボランティアとも接触せざるをえません。そして、アスリートバブルに入れるボランティアが食事をするのは、他のゾーンのボランティアと同じ食堂なんですよ」

 ゾーン分けされているボランティアが食事の場所は同じとは、まるでゾーニングの意味がなくなってしまう。運営サイドのルールの設計、運営には疑問が残る。

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