日本でも、高齢者を中心に、ワクチン2回接種を完了した人が増えてきた。新型コロナウイルス感染症のワクチンには、開発当初より高い効果が報告され、ワクチン接種が早く進んだイスラエルでは、ワクチンの普及とともに感染者が激減した。
しかし、その後、早い時期に接種を行った人々の中で再度感染が増加しはじめた。日本でも、医療機関のすでにワクチンを打ったスタッフからの感染事例がいくつか報告されている。
ワクチンを2度接種して14日以上経過しても感染することを「ブレイクスルー感染」という。特に高齢者の中には、ワクチン接種が終わって3、4ヶ月経過する人もこれから増えていき、ブレイクスルー感染が気になるところだろう。
どのくらいの人がブレイクスルー感染するのか
ワクチン2回接種完了後の感染について、2021年7月21日に、国立感染症研究所は、本邦におけるブレイクスルー感染の状況について報告している。7月21日時点でワクチン接種後の感染は27都道府県から130例報告されており、2回接種14日後以降の感染はそのうち67例だ(資料1)。
20-40代の比較的若い人が多いのは、医療従事者が多いためで、医療従事者は、ワクチンを打ってからの時間経過が長く、ワクチンの効果が落ちてきていることを示しているといえるだろう。ファイザーの接種後が多いのは、医療従事者や、高齢者の集団接種においてはファイザーが主に使われていたことによるだろう。
130例中65例(50%)が無症状、60例(46.2%)が軽症、5例(3.8%)が中等症で、重症例はいなかったようだ。
アメリカのCDCは、州と協力して、ブレイクスルー感染を監視しており、ワクチンの種類や基礎疾患の有無、変異株による感染かどうかなどの調査を行い、1-4月に報告されたブレイクスルー感染について報告している 。
この期間は、現在優勢なデルタ株ではなくアルファ株が優勢だった期間だが、10262例のブレイクスルー感染が報告され、2725例(27%)は無症状、995例(10%)が入院し、160例(2%)が死亡したとのことだ。