ブレイクスルー感染、重症化や死亡率は?
では、ワクチン接種をしていない状態での感染と比べて、ブレイクスルー感染は、重症度などに違いがあるのだろうか。
イスラエルの医療従事者を対象とした研究では、ブレイクスルー感染のほとんどが軽症あるいは無症状だが、2割ほどは6週間以上の長期にわたり症状が持続したとの報告がされている。また、この研究では、ブレイクスルー感染した人の、ワクチンにより得られた抗体価は、感染しなかった人よりも低かったという。また、イタリアの研究(アルファ株に対する研究ではあるが)では、ブレイクスルー感染は、無症状あるいは軽症が多く、人に感染させることが少ないと報告されている。
アメリカの研究では、ワクチンを打った人は、入院する確率が、そうでない場合よりも少ないと報告されている。9月1日に報告されたイギリスの研究では、ワクチン2回接種は、入院を減らすと同時に、28日以上続く後遺症を減らすことが報告された。
また、どのワクチンがブレイクスルー感染が多く、重症化が多いのかについては、9月7日のアメリカの報告で、ブレイクスルー感染の人数や重症者で多かったのはファイザーの接種者というものがあるが、研究に様々な限界があり、まだはっきりしない。
ワクチン接種後、免疫がつかない人や、効果が早く落ちやすいのはどんな人?
どんな人にブレイクスルー感染が起こったのかに関してだが、イスラエルでは、ブレイクスルー感染で入院を必要とした患者は、新型コロナウイルス感染症が重症化しやすい基礎疾患があったと報告され、4割に免疫不全があったと報告している。アメリカの研究でも、ブレイクスルー感染で入院を要した患者の4割が、癌の治療中や臓器移植後などの免疫抑制状態だったとされている。
癌の治療中の人は、ワクチンを打った後で、免疫に問題がない人と比べると、免疫がつかないケースもあり、また、ワクチンを打った後の抗体価もより落ちやすいという報告があるが、そうはいっても、この報告の中では、癌治療中の人でも3-4ヶ月後の抗体陽性率は87%と高く、ワクチンは有効と考えられる。しかし、そうでない人と比べて抗体がつきにくい・落ちやすい傾向はあるので、癌を治療中の人は、感染対策を怠らないようにしたほうがよいだろう。