デルタ株は従来株に比べてブレイクスルー感染の頻度が高い?
では、デルタ株に関しては、どのような報告があるのだろうか。イスラエルの研究では、ファイザーワクチンを2回接種して7日経過した以降に感染した人は、ワクチンを打っていない人や、ワクチン1回接種後14日~ワクチン2回目接種後6日以内に感染した人に比べて、デルタ株感染の比率が多かったと報告している。
また、テキサスのヒューストンで行われた研究では、デルタ株は、その他の株と比較して、2回目のワクチン接種後14日経過した、ブレイクスルー感染の比率が高かったと報告している。その他の株では、感染数全体のうちブレイクスルー感染の占める割合は5.8%だったのに対し、デルタ株では19.7%を占めていたとのことだ。
ただし、この2つの研究は、デルタ株が流行する初期までに行われたもので、デルタ株への置換が進んでいない時期であり、デルタ株の症例数が少なく、信頼性は十分とはいえないため、今後のさらなる研究が待たれる。
ワクチン接種はどのくらいの期間有効?
最近の研究では、ワクチン接種の効果は長くは続かないことが示唆されるようになってきた。ファイザーワクチンは、当初は高い効果を示すものの、3-4ヶ月後には低下すると考えられている。6ヶ月後には、若い医療従事者でも抗体価が低下していたが、高齢者でより顕著だという報告もある。
それに対してモデルナワクチンは、デルタ株が優勢な期間において、ブレイクスルー感染が少なくファイザーよりも有効ではないかとする報告がある。アストラゼネカのワクチンは、当初はファイザー、モデルナワクチンよりも効果が低いが、3、4ヶ月経過すると、効果の低下が比較的早いファイザーのワクチンとほぼ同等になるという研究結果もある。
イスラエルでは、3回目のブースター接種を行うと、デルタ株にも、ブレイクスルー感染の予防効果があるのではと示唆する研究結果が報告されている。