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丹羽    僕も自分の出るものとか、まったく興味がないから見ないんです。もう出ちゃったものは、しようがないじゃない。藤井さんの場合も、例えば負けただの勝っただの報道されたって、もう終わっちゃった対局だものね。そんなものは自分一人で振り返ったり反省したりすれば、それでいいよね。

 藤井さんが、自分について取り上げたものを見ないというのは、いい習慣ですよ。今はエゴサーチ(検索サイトで自分の名前を検索し、自分に関するネット上の情報を確認すること)をしている人が増えているようだけど、そこにいいふうに書いてあっても悪いふうに書いてあっても、本人にとっていい影響はあまり与えない。これは経済界のトップもプロスポーツ選手も同じですね。それをこの若さで感じて、実践しているところがすごい。

有名になったことを前向きに考えたい

 藤井さんが出歩くと、いろいろな人から声を掛けられるんじゃないですか? いっそのことサングラスでもかけてみたら(笑)。

藤井    いや、サングラスは……(笑)。声を掛けられたときに、逆に気恥ずかしい感じがしますので。

丹羽    僕の場合も声を掛けられたことはあったけど。ある程度は有名税というか、しようがないね。

藤井    以前、陸上の桐生祥秀選手と対談をさせていただきました。陸上競技大会(2017年9月9日、日本学生陸上競技対校選手権)で、100メートル9秒98の日本新記録(当時)を樹立した方です。桐生さんとの対談でいちばん印象に残っているところは、桐生さんにとってはあまり本意ではないかもしれないんですが、「有名になったことで、どういう変化があったか」という点でした。桐生さんがご飯を食べに行ったときに、お店の方がデザートをサービスしてくれたりして、それが嬉しいといったことを答えられていました。自分にはなかった考え方で、自分もそういうふうに前向きに考えたいなと思いました。

写真提供:日本将棋連盟

ファンレターも来るようになり…

丹羽    ファンレターもいっぱい来るでしょう? いいことばかり書いてあるよね。僕の場合、自分の本について「ここはこうしたほうがよかったんじゃないの」などと内容の指摘をしてくれるものはありがたいですね。その指摘が間違っていようとなんであろうと、お褒めの言葉ばかり書いてあってもつまらないので。藤井さんはどうですか?

藤井    将棋に関しては、技術的なことなら、やはり自分がいちばんよくわかるんですけど……。

丹羽    そうですよね。

藤井    でもそういう指摘は、ありがたいです。

丹羽    藤井さんに指摘できるような人は普通はいないよね。でも思い込みにしろなんにしろ、そこまで見ててくれるのかという内容のファンレターだと、もらったときに嬉しいですよね。

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考えて、考えて、考える

藤井聡太 ,丹羽宇一郎

講談社

2021年8月26日 発売

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